2012 Fiscal Year Annual Research Report
中国深せん市の最適水循環構築に向けた水質実態調査と環境政策への反映
Project/Area Number |
24404005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水野 忠雄 京都大学, 工学研究科, 助教 (00422981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 賢 京都大学, 工学研究科, 研究員 (70450202)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 深せん市 / 最適水循環 / 水質実態調査 / 環境政策 |
Research Abstract |
当該研究地域の主要な水源となる東江の水質調査を河川流下方向に5地点、月1~2回程度の頻度で実施した。有機物としてのTOCはほぼ横ばいから若干の増加が認められた。ここ4年間を通じても大きな変化はなかった。一方で有機物中の成分としての性質をあらわすUV254値は、この1年では大きな変化はないものの、4年間では減少が認められた。窒素としての総窒素はほぼ変化がないものの、アンモニア濃度は一定の低下が認められ、最も汚染されている地点でも概ね0.5mgN/L以下と地表水水質基準のII類レベルとなった。りんについては総りん濃度はこの4年間で顕著な低下が認められ、この1年では、すべての地点、すべての採水日で0.2mgP/Lを下回り水質基準のIII類レベルとなった。微量汚染物質としてPPCPsについての調査も行ったが顕著な傾向が認められなかった。流域周辺では、牧畜や農産物の生産が行われていることから今後は農薬に焦点を当てて調査することとした。 深〓市内河川について、現地踏査の結果などを考慮して、4河川、それぞれの河川について再生水の放流口を1か所ずつ含む3か所、計12地点を選定し、一般水質項目、PPCPs、バイオアッセイによる評価などを行った。河川上流1か所については、近隣の住居から直接廃水が流れ込んでいると考えられ、水質面からも下水流入水程度の結果が得られた。また、再生水についても窒素、りん除去が施されている処理場からの放流にもかかわらず、必ずしも十分に除去されている状況でないことがわかった。1つの河川については、有機物、窒素、りんの観点からは流下に従って水質改善が認められた。ただし、その一方で最下流部でアンチエストロゲン活性が最も高く認められるという興味深い結果が得られた。深〓市内は人間活動による水の汚染が主であると考えられることから、PPCPsにも焦点を当てるとともに、トレーサーとしての役割を期待して有機フッ素化合物の調査も行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東江の調査については、現地土地利用に立脚した水質項目追加に対する方向性が得られたこと、深〓馴市内河川については予定通りの調査を遂行でき、さらに25年度以降の調査への方向性が得られていることから、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
東江の水質調査については、頻度を2か月に1度とし、一般水質項目、農薬に焦点を当てて展開する。また、深別市内河川については、頻度を1か月に1度とし、一般水質項目、PPCPs、有機フッ素化合物に焦点を当てて展開するまた、雨量データなどの関連する統計データを取得するとともに、総合的な評価が可能となるような解析を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
有機フッ素化合物については、分析委託を行う予定であり、また人件費、謝金などを利用して、現地に数回渡航、もしくは短期で滞在させるなど機動的に対応できる体制を整えるために研究費を使用する。
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