2013 Fiscal Year Annual Research Report
中国深せん市の最適水循環構築に向けた水質実態調査と環境政策への反映
Project/Area Number |
24404005
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水野 忠雄 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (00422981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 賢 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (70450202)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 深せん市 / 最適水循環 / 水質実態調査 / 環境政策 |
Research Abstract |
昨年度から引き続き、当該研究地域の主要水源の河川について流下方向に5地点、市内4河川について合計12地点の水質調査を実施した。水源河川については、過去と比べて大きな水質変動はなかったものの、りん濃度が低い濃度で安定してきており、下水処理場の完備など汚染源対策などが講じられていることが示唆された。また、雨季には、SS濃度が高くなるものの、溶存物質については降水による希釈効果が高いことが示唆された。2013年度は、これまで継続調査を実施していた、有機物、窒素、リン、大腸菌群などに加え、農薬に関しても調査を行った。調査を行った17種類のうち、3種類については不検出であったが、検出された物質の濃度範囲は数ng/L~数十ng/Lであった。比較的高濃度で検出された農薬は殺菌剤の1種であり、河川上流から下流にかけて上昇している傾向が認められた。ただし、流下方向に濃度変動が認められない物質もあり、地域と使用される農薬の特性に起因した傾向であると考えられた。 また、市内の4河川における内分泌かく乱性をin vitroレポータージーンアッセイによって測定した。採水は4河川それぞれの上流部、下流部、およびその流下途中で流入してくる下水再生水の放流地点で実施した。その結果、前年度の調査と同様に、2河川の上流部において、主に生活排水に由来すると思われる高いエストロゲン様作用が検出された。また、そのうち1河川においては流下途中で放流される下水再生水がエストロゲン様作用の緩和効果を持つことが確認できた。 2013年度の調査は、前年度の調査結果と異なり、調査時に降雨が確認されていた。4河川全てにおいて下流部でも上流部と同程度以上のエストロゲン様作用が検出されるなど、レポータージーンアッセイの結果からは降雨により流下途中エストロゲン様作用物質の流入が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
必要となる水質情報、当該地域情報などの収集も進み、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
蓄積した水質情報、現地土地利用情報、環境動向などを考慮し、下水再利用水を深せん市内貯水池へ戻した場合を含む新たな水循環系に関して、水質面、エネルギー面などからの評価を行い、深せん市に適合した水の再利用についての提言を行う。 この目的のために、まずは地理情報システム(GIS)などを活用して、これまでに得られた情報を統合的に整理、評価する環境整備を行う。 下水再利用水に関しては、基本的には、実際に運用されている再利用施設からの水の水質をもって評価することを基本とするが、水質が十分でない場合やより一層の高度化が望めると考えられる場合には、それらの情報を収集し活用するなどの対応を組み入れる。この際には、研究代表者が主たる共同研究者として参画している別の研究プロジェクトで開発中の再利用技術における評価を組み込むことも想定する。 GISによる統合的な評価システムに下水の再利用シナリオ組み込むことで、当該地域における最適な水の再利用、水循環系に関する提言を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
諸事情により水質調査の頻度を落としたため。 水の再利用、循環を考える上では、一般水質項目に加えてリスクとなる物質群の制御・評価が必要となる。そのために、これまで調査していないウイルスなどを加えた評価を行うため、必要となる機器、試薬の購入を行う。また、この目的のために、研究室より人員を派遣する旅費に使用する。
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