2014 Fiscal Year Annual Research Report
ユーラシア・北米のハスカップ野生遺伝資源の多様性解析と評価に関する研究
Project/Area Number |
24405022
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
星野 洋一郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (50301875)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遺伝資源 / 系統解析 / 遺伝的多様性 / 分子マーカー / ハスカップ |
Outline of Annual Research Achievements |
ハスカップ(Lonicera caerulea)はベリー類として貴重な遺伝資源の一つであるが、世界的にその全体像は把握されておらず、環境変動下でその野生遺伝資源が失われつつある。野生種のハスカップは北半球の温帯から亜寒帯に分布し、倍数性の変異があることが知られている。本研究では、分子マーカーを用いた系統解析を行い、各地域のハスカップの類縁関係と多様性について研究を行うこと目的としている。 本年度はロシアのバビロフ研究所との共同研究をスタートさせ、L. boczkarnikovae, L. edulis, L. altaica, L. caerulea, L. kamtschatika, L. pallasii, L. stenantha および L. emphyllocalyxの系統を加えて研究を進めた。これらの材料について、フローサイトメトリーによる倍数性判定、相対的DNA含量測定およびAFLP(amplified fragment length polymorphism)マーカーによる系統解析を行った。 フローサイトメトリーの結果、L. boczkarnikova および L. edulis は全系統が2倍体、L. caerulea, L. kamtschatika, L. pallasii, L. stenantha および L. emphyllocalyx は全系統が4倍体だった。L. altaica では10系統中9系統が4倍体だったが、1系統で5倍体が見出された。 AFLP法による系統樹は5つのクラスターに分かれることが分かった。この解析結果は、概ね種と自生地を反映していたが、複数の種を内包したクラスターや異なるクラスターに分かれた L. edulis など、さらに解析が必要な部分も見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハスカップにおけるAFLP法による系統分類の手法を確立し、各自生地間の比較が可能となった。日本と中国のハスカップの比較に加え、新たにロシアの系統を入手し、倍数性、DNA含量、系統分類に関する知見を蓄積することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのAFLPマーカーに加え、細胞質ゲノムの解析を進める予定である。また、日本の博物館、植物園に収蔵されている標本サンプルを確認し、その利用の可能性を探り、現在では入手できないハスカップサンプルを用いた系統解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、予定していた共同研究相手のロシア・バビロフ研究所への訪問が政情不安定のために取り止めたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでの研究で、ハスカップに多数の倍数性の変異が見出されたことから、系統解析に倍数性の影響を受けない細胞質ゲノムの解析を加える予定である。その実験に使用する誌薬類の経費として支出を見込んでいる。また、共同研究の推進のため、ロシア・サンクトペテルブルグのバビロフ研究所を訪問する予定である。そのための旅費として使用予定する計画である。しかし、引き続き政情不安定な要素も見込まれるため、メール等での連絡を密に取り、実験の分担などで効率的な研究の推進を進める算段を立てている。
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Research Products
(2 results)