2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24405025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北島 宣 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70135549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 雅史 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (00305161)
小枝 壮太 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00629066)
米森 敬三 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10111949)
桂 圭佑 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (20432338)
八幡 昌紀 静岡大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60420353)
山崎 安津 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所, 研究員 (70582584)
清水 徳朗 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所, 室長等 (90355404)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 果樹 / カンキツ / 起源 / 種分化 / 分類 / DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、タイ南部、インドネシアのジャワ島およびアンボン島の在来カンキツの調査を行い、それぞれ17、40、29サンプルを採取した。SSR解析において、マーカーの詳細なスクリーニングを行い、カンキツの多様な種において共通して利用可能な55マーカーを厳選した。このマーカーを用いて、これまで採取した288個体の在来カンキツおよびカンキツ類の標準種の解析を行った。その結果、カンキツ類はカラタチ、キンカン・シキキツ、パペダ・シトロン、ブンタン・ダイダイ、マンダリンの5グループに大きく分類された。また、この結果からカンキツの親子鑑定が可能となり、ウンシュウミカンはコミカンとクネンボの雑種であることが判明し、その成果はPlant & Animal Genome XXIII 国際会議で発表した。また、cpDNAのtrnS-trnG領域の塩基配列解析では、これまで採取した124個体の解析から22種類の多型が検出され、それらの遺伝的距離からマンダリンの細胞質はカンキツ起源種に最も近いこと、ヒメレモンの細胞質はスンキに極めて近いこと、シトロンに比べクリメニアがポンカンに近いこと、パペダはブンタンに比較的近く、いずれもポンカンやシトロンから遠いことなどが示された。これらの結果はCitrus Biotechnology III 国際シンポジウムで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、日本の本土および沖縄・南西諸島、中国の浙江省、江西省、広東省、広西自治区および雲南省、台湾、ベトナム、フィリッピン、タイ、インドネシア、ミクロネシアの在来カンキツ調査を行い、東シナ海および南シナ海地域をほぼ網羅する地点での調査を行うことができた。その結果、カンキツ属およびその近縁属を含め、862個体のDNAを蒐集・保存し、SSRマーカー解析およびcpDNA解析の手法が確立され、代表的な200~300個体を用いた細胞質DNAおよびゲノムDNA解析結果が蓄積され、細胞質DNAおよびゲノムDNAに基づく在来カンキツの類縁関係が明らかにされた。また、これらの結果をもとにカンキツ属の起源種や種分化および東シナ海・南シナ海を介した伝播ルートの全容が解明されつつある。そのため、本研究課題はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
シトロンとパペダは分布域が中国南西部・インド東北部と東南アジアと遠く離れており、細胞質DNAも大きく異なるにもかかわらず、ゲノムDNAでは近い関係にあることや、イーチャンパペダは形態的にパペダに近いにもかかわらず中国南西部に自生していることなどから、中国南西部の在来カンキツをさらに詳細に調査する必要がある。また、クリメニア属はシトロンやブンタンに比べカンキツ属の起源に近いと推定されることから、クリメニア属が自生するニューギニアの調査を行う必要がある。一方、まだ解析されていない蒐集個体について精力的にSSR解析およびcpDNA解析を行い、SSR解析データを詳細に解析することにより在来カンキツ伝播の詳細を解明するとともに、cpDNA解析結果をもとに在来カンキツや種分化の時間軸を検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
平成27年3月13日~20日に実施したインドネシアジャワ島における在来カンキツ調査において、現地のカウンターパート1名が急遽同行できなくなり、その旅費の支出が不要となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額が生じた金額は10万円以下であり、旅費に使用する予定である。
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