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2014 Fiscal Year Annual Research Report

熱帯泥炭土の組成と生成・分解に関する研究:多様性に着目して

Research Project

Project/Area Number 24405029
Research InstitutionKitasato University

Principal Investigator

眞家 永光  北里大学, 獣医学部, 講師 (00453514)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 渡邉 彰  名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (50231098)
木村 園子ドロテア  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60397015)
Project Period (FY) 2012-04-01 – 2016-03-31
Keywords熱帯泥炭 / 多様性 / 化学的特徴 / 堆積速度 / 分解速度 / 油ヤシプランテーション / モニタリング / マレーシア
Outline of Annual Research Achievements

マレーシア国サラワク州の泥炭土壌主要3亜型を対象として,(1)有機物の化学的特徴,(2)堆積速度,(3)分解速度,および,(4)分解過程に及ぼす因子について,相互に関連づけながら明らかにすることを目的として研究を行っている.平成26年度の研究より得られた成果は以下の通りである.
熱帯泥炭の化学的特徴:熱帯泥炭は,亜型により脂肪族炭素に富んでいるものや,多糖類に富んでいるものが存在した.また,泥炭の物理的な性質である粒径サイズ分布も亜型により異なっていた.ただし,各亜型の泥炭において,異なる粒径サイズの炭素組成はほぼ等しかった.
熱帯泥炭の堆積速度:マルダム国立公園内の熱帯泥炭の堆積速度は,亜型により異なり,1mあたり497年(パダンアラン林)から737年(アランバトー林)であった.
熱帯泥炭の分解速度:開発に伴う泥炭の分解速度を,メソコスムを用いた培養実験により平成24年度より調査している.メソコスムからの温室効果ガス(GHG,二酸化炭素,メタン,および亜酸化窒素)発生量は,亜型により異なっており,糖類含量の高いアランバトー林下の泥炭はCH4発生量が多い一方,窒素含量の比較的高い混合湿地林下の泥炭は,亜酸化窒素の発生量が多かった.また,GHG発生量と,泥炭の水分含量の間に正の相関が認められた.1年間の培養より,泥炭の粒径組成は変化し,いずれの亜型の泥炭においても63µm以下の画分が増加した.ただし,炭素組成は,培養前と比べて変化は認められなかった.
分解過程に及ぼす因子:土壌環境の変化を敏感に反映する溶存有機物(DOM)の質に着目し,油ヤシ開発に伴う泥炭の変化についてモニタリング調査を行っている.現在までの研究より,地盤高と地下水位がDOM組成に大きな影響を及ぼすこと,土壌水中のDOMは,施肥による微生物活動の増加に伴い,経時的に還元的になりつつあることが推察された.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

熱帯泥炭の化学的特徴については,現地調査を行うとともに,得られたサンプルを順調に分析しており,粒径サイズ分布,炭素組成について,興味深い結果が得られている.
熱帯泥炭の堆積速度については,2つのサイトについて堆積速度が算出された。
熱帯泥炭の分解速度に関しては,平成24年度に開始したメソコスムを用いた培養実験を順調に継続中であり,異なる亜型の泥炭からのGHGガスの発生について興味深い結果が得られつつある。また,培養後の泥炭の変化についても,予定通り分析が進んでいる.
油ヤシプランテーション下の地下水中の溶存有機物組成の変動についても,順調にモニタリングが進んでいる.したがって,研究はおおむね順調に進んでいると判断される。

Strategy for Future Research Activity

(1)熱帯泥炭の化学的特徴:マルダム国立公園より採取した亜型の異なる3種の熱帯泥炭の表層付近の土壌(サプリック層,ヘミック層,ファイブリック層)の物理的および化学的特徴をまとめる.
(2)熱帯泥炭の堆積速度:マルダム国立公園内の3か所より表層から基盤層(6mから10m)にかけて1mごとに採取した熱帯泥炭のコアサンプルについて,14Cを用いた年代測定を継続して行う(再測分)。また,それぞれの試料について,炭素組成,炭素および窒素安定同位体比,可溶性腐植の光学的性質を明らかにする。
(3)熱帯泥炭の分解速度:マルダム国立公園より採取した亜型の異なる3種の熱帯泥炭土壌を,ナマン市に位置する油ヤシプランテーションにおいて,メソコスムを用いて,経時的に二酸化炭素やメタンの発生速度を測定しながら継続的に培養する(培養開始から3年目)。また,8月に培養3年後の試料を回収し,培養に伴う質の変化を,物理的(粒径サイズ分布)と化学的(炭素組成)面より調べる。
(4)分解過程に及ぼす因子:ナマン市に位置する土壌タイプや開発年度の異なる油ヤシプランテーションの地下水中の溶存有機物の質と量の変化を,溶存有機態炭素濃度,紫外可視吸光スペクトル,三次元蛍光スペクトルを用いて継続的にモニタリングを続けるとともに,組成の変動要因を調べる。
(5)得られた知見を学術雑誌や学会発表等を通して公開する。

Causes of Carryover

培養実験に用いるクールインキュベーターの購入を27年度に変更したため.

Expenditure Plan for Carryover Budget

5月にクールインキュベーターを購入する.

  • Research Products

    (2 results)

All 2014

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 熱帯泥炭土中の溶存有機物組成に及ぼす油ヤシプランテーション開発の影響2014

    • Author(s)
      眞家永光 渡邉彰 木村ドロテア園子他3名
    • Organizer
      日本土壌肥料学会全国大会
    • Place of Presentation
      東京農工大学(東京都、小金井市)
    • Year and Date
      2014-09-09 – 2014-09-11
  • [Presentation] マレーシア国サラワク州における油ヤシプランテーション下の熱帯泥炭土の炭素組成2014

    • Author(s)
      加藤紀香 Lulie Melling 眞家永光 木村ドロテア園子 他3名
    • Organizer
      日本土壌肥料学会全国大会
    • Place of Presentation
      東京農工大学(東京都、小金井市)
    • Year and Date
      2014-09-09 – 2014-09-11

URL: 

Published: 2016-06-01  

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