2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規高効率ウイルス探索法を用いた人獣共通感染症の疫学調査
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24405043
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澤 洋文 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 教授 (30292006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 秋宏 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 助教 (90421982)
大場 靖子 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 特任助教 (60507169)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 感染症 / 微生物 / 応用微生物 / 昆虫 / 動物 |
Research Abstract |
平成25年度はザンビア共和国において、炭酸ガス発生装置を作成し装備したCDCトラップ、センチネルトラップを用いて、総計2000匹程度のメスの成虫蚊を採集した。採集した蚊は-80℃で保管し、現地もしくは北海道大学に輸送後に実体顕微鏡下で種鑑別を行い20-40匹のプールを作製した。これらの蚊は今後RNA抽出および細胞接種を行い、ウイルスの検出、同定を試みる予定である。更に平成24年度にナムワラ地域で採集した蚊15プール(213匹)からRNAを抽出しPan-Flavivirusに対するPT-PCRを行った結果、既知のmosquito-specific flavivirusと75%の相同性を持つ遺伝子断片が検出された。蚊抽出液を細胞に接種し、次世代シーケンサー(NGS)にて遺伝子解析を実施した結果、既知のCulex flaviviusであることが判明した。ザンビアにて採集したコウモリ39検体の保有する感染性微生物の網羅的探索を実施した。各臓器の乳剤を細胞に接種し14日後の培養上清からRNAを抽出しその配列をNGSを用いて網羅的に決定した結果、Nairovirus、Adenovirusに相同性の高い配列が検出された。細胞を用いて単離を試み、NairovirusとAdenovirusを分離した。分離したウイルスの全ゲノム配列を再度NGSを用いて決定し、いずれのウイルスも新種であると考えられた。Nairovirusはコウモリからの検出例は報告が無く、本法を用いることで容易に新種のウイルスを発見できることが示された。分離したNairovirusをマウス及びウサギに接種し、感染21日後に血清を調製し、両血清とも抗ウイルス抗体が産生されていることが確認できた。マウス血清はウイルス感染細胞を抗原としたELISAおよび感染細胞の免疫染色において非常に良好な結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、ザンビア共和国において、昆虫および哺乳類動物を対象とした疫学調査を実施する。さらに、新規高効率ウイルス遺伝子探索法を開発し、疫学調査で得られた検体から、人獣共通感染症の原因となり得るウイルスを探索・同定することを目的としている。 平成25年度は 1.疫学調査による昆虫および動物の採集について:平成25年5月にザンビア共和国を訪問し、人獣共通感染症が蔓延しているコンゴ民主共和国国境近くのソルベジ地域に8日間、及びルサカ地域に6日間滞在した。この間に感染症の媒介に関与すると考えられるメスの蚊、齧歯類動物、コウモリを採集した。さらに採集した蚊および齧歯類動物は形態学的および遺伝子工学的に種の分類を実施し、その後、蚊については個体全体を乳剤にして、齧歯類動物は主要臓器から核酸を抽出し、ウイルス核酸の検出に用いた。 2.ウイルス遺伝子探索法の開発平成24年度に検討した結果に基づいて、採集したコウモリから調製した臓器乳剤をVero E6細胞に接種し培養上清からRNAを抽出した。このRNAの配列を次世代シーケンサー(NGS)を用いて網羅的に決定し、Nairovirus、Adenovirusに相同性の高い配列が検出された。ウイルス陽性の臓器乳剤を再度Vero E6細胞に接種し、3株のNairovirusと1株のAdenovirusが分離できた。分離したウイルスの全ゲノム配列をNGSを用いて決定し、相同性解析をした結果、いずれのウイルスも新種であると考えられた。特に、Nairovirusはコウモリからの検出例はこれまで報告が無く、本方法を用いることで容易に新規のウイルス-宿主動物の組み合わせ、および新種のウイルスを発見できることが示された。以上より、交付申請書に記載した目的達成度はおおむね順調に進展していると評価される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、前述した目的を達成するために、ザンビアにおける疫学調査を継続して実施すると共に、平成25年度に確立した方法を用いて、採集した検体からのウイルスの核酸の同定、及びウイルスの単離を試みる。 具体的には、平成24年度に整備した蚊採集用の捕虫装置、また既に保有している齧歯類動物捕獲用のトラップを用いて、蚊および齧歯類動物の採集を実施する。ザンビアではレンタカーを借り、現地で蚊採集用の捕虫装置および齧歯類動物捕獲用のトラップを数日間にかけて毎日設置する。採集した蚊は現地に持参する実態顕微鏡で目的とするメスの蚊のみを選別し、運搬式の冷凍庫に保管する、また採集した齧歯類動物は現地で各臓器のサンプリングを実施し、同様に冷凍庫に保管する。ある程度の検体数が確保できたら現地から実験室の有るザンビア大学に戻り、検体の処理をする。 前述のように採集し処理した検体を用いて、次世代シーケンサーまたはRT-PCR法等の分子生物学的方法を用いて、北海道大学で検体中のウイルス核酸を同定することを試みる。ウイルスが同定された際には、北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターの動物実験室を用いて、ウイルスタンパク質に対する特異抗体を作成して、ウイルスの発現様式を検討する。更に現在単離が出来ているウイルスについてはその病原性発現機構を分子生物学的方法等を用いて詳細に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の経費を節減した結果、生じた使用残が発生した。 生じた使用残については、RT-PCR法等の分子生物学的方法に使用するチップ、チューブ等を購入する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Identification of a novel polyomavirus from vervet monkeys in Zambia.2013
Author(s)
Yamaguchi H, Kobayashi S, Ishii A, Ogawa H, Nakamura I, Moonga L, Hang’ombe BM, Mweene AS, Thomas Y, Kimura T, Sawa H, Orba Y
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Journal Title
J Gen Virol
Volume: 94(Pt 6)
Pages: 1357-1364
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Human parainfluenza virus type 3 in wild primates, Zambia.2013
Author(s)
Sasaki M, Ishii A, Orba Y, Thomas Y, Hang’ombe BM, Moonga L, Mweene AS, Ogawa H, Nakamura I, Kimura T, Sawa H
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Journal Title
Emerg Infect Dis
Volume: 19 (9)
Pages: 1500-1503
DOI
Peer Reviewed
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