2013 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴルにおける持続可能な水環境保全と水利用のための遊牧システムの形成
Project/Area Number |
24405046
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中井 裕 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80155655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 千佳 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30413892)
池田 実 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70232204)
米澤 千夏 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60404844)
田島 亮介 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (60530144)
吉原 佑 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (50552379)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 環境分析 / 生物多様性 / 環境政策 |
Research Abstract |
本研究では、トール川とその周辺の池沼における水環境と放牧される家畜について,水系伝播の病原性微生物による汚染状況を調査した。その結果、2013年の調査においても、Cryptosporidium sp. とGiardia sp.は全糞便および水試料から検出されなかった。反芻動物の糞便から志賀毒素産生大腸菌(STEC)が高い陽性率で検出された。 アークティックグレイリング(Thymallus arcticus)について、トーラ川が支流となるオルホン川、トーラ川でもサンプルを追加し、昨年度と同様のmtDNA分析により河川内距離が約600km離れた地点間で遺伝的分化について検討した。その結果、トーラ川(n=14)のハプロタイプ数とハプロタイプ多様度は4と0.624、オルホン川 (n=21)では5と0.691となった。系統解析では、いずれのハプロタイプもバイカル湖のクレー ドに属したが、ハプロタイプ頻度には河 川間で有意な差異が検出された。 さらに、異なる水質の水を飲水した家畜の影響を調べる為に、モデル実験を行った。それぞれ4つの牧区にヒツジを放牧し、トール川上流、トール川下流、水溜りの池、井戸の水を入れた。試験開始時、試験開始14日後と45日後に、全頭のヒツジの体重計測、採血、糞の採取を行った。その結果、トール川下流の水を与えたヒツジの平均白血球数が45日後に上昇していた。汚染が深刻なトール川下流の水を飲水したヒツジに白血球の上昇が見られたことから、糞便を介した大腸菌や寄生虫等の感染が疑われた。 また、2012年度に作成したモンゴルのGISデータベースに1990年、2001年、2010年に首都ウランバートル近郊を観測したLANDSAT TMおよびETM+画像を重ね合わせて解析した結果、土地利用形態によって草地の構成や変化の状況に差違が表れることが明らかに なった。特に、未舗装道路が多い地域では20年の間に劣悪 草地の割合が増加していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度の調査により、H24年度の調査に加えてより詳細なデータを得られた。1)モンゴルの放牧地における家畜動物(ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ)の糞を採取し、糞中に含まれる病原性微生物の感染率を2年間に渡る結果を得る事ができた。病原性大腸菌については、これまでの他国での調査報告に比較して、感染率が高いものもあることが明らかになった。2)異なる水質状況の河川水を飲水させたときの、家畜に対する影響の基礎的部分を把握することができた。3)河川水質の異なる地点での魚の遺伝的多様性への影響結果も得る事ができた。2年間の結果より、河川水質の違いによる遺伝的変化への影響はほとんどないことが明らかになった。これらの結果は、当初計画とほぼ同じに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の調査に引き続き、トーラ川河川を中心とした病原性微生物の検出を行う。2012,2013年度では、河川水からの病原性微生物が検出されなかったが、その原因に検出方法の感度の問題が考えられるため、今年度は、より感度の高い方法で調査を行う。さらに、異なる水質の飲水によるヒツジへの影響についても、より測定項目を増やして、免疫反応を詳細に調べる予定である。 遺伝子多様性についても、解析方法をさらに加え、より詳細な遺伝的多様性について解析を行って、地理的違いと遺伝子多様性、河川水質との関係についても考察する。 GISについても、さらに解析を進めて行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度のモデル実験では、当初より、初めてのこともあり、測定項目が少ない、飼育期間が短い、また、予想より、ヒツジ代などが安くなったため、当初よりお金を使用しなかった。 今年度は、全ての調査研究において、最大限の検出、また、測定項目も増加し、解析およびモデル実験を行う事にしている。そのため、細かなサンプリングや分析キットなどの増加などが見込まれ、これらに使用予定である。
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Research Products
(4 results)