2013 Fiscal Year Annual Research Report
三日熱マラリア原虫感染赤血球表面分子に対する血清疫学
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24406012
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
金子 修 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (50325370)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 感染症 / 原虫 / 抗原 / 血清疫学 |
Research Abstract |
最近、良性と言われる三日熱マラリアが肺や胎盤に集積し重症化するという例が相次いで報告され、原虫感染赤血球の細胞接着分子の関与が示唆されている。本研究では、三日熱マラリア原虫感染赤血球表面に発現しているリガンド候補分子PvSTPとVIRについて、①型特異的抗体の有無、②型特異的抗体および抗体価と患者臨床情報との関連性、③抗体価の治療後の推移について、タイのマラリア流行地の三日熱マラリア感染患者の血清および原虫遺伝子を採取して解析することで、これらの分子に対するヒト抗体応答および病原性への関与を明らかにすることを目的とする。 平成25年度は、平成24年度に作製できなかった分を含めてすべての組換えタンパク質(PvSTP1の結合領域と考えられるCysteine-rich domain (CRD)について2型、PvSTP2のCRDについて3型、Virについては5つの型)の作製を完了した。タイ・カンボジア国境地域にある拠点病院を訪れ、マラリア患者からの原虫試料採集の交渉を行い、原虫標本の採取を行ったが、例年の感染患者数から30検体以上が採取できると予想していたのに反して、8検体と収集率が非常に悪かった。そのため、海外協力研究者のスンカポン博士を介して、マラリア症例がより多いことが期待されるタイ・ミャンマー国境のメソト地区でマラリア原虫試料を収集する交渉を行い、来年度はメソト地区で原虫を集める段取りを整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度はタイ・カンボジア国境地域でマラリア標本を得たが、8検体と収集率が非常に悪かった。原因の一つとして、最近、マラリアに対する対策が進展しマラリア症例が減少していることが考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度はタイ・カンボジア国境地域でマラリア標本を得たが、8検体と収集率が非常に悪かったため、平成26年度はタイ・ミャンマー国境のメソト地区を中心に30から50標本を目標として収集することとする。平成25年度に作製したELISA用の組換えタンパク質に対する特異的抗体価を測定し、抗体価情報により、各型の組換えタンパク質に特異的に反応する抗体がどの程度存在するのか、またVIRの種々の型に対する特異抗体が存在するかどうか検討する。原虫のPvSTPとVIRの遺伝子型を確認し、原虫の遺伝子型が血清の各型への反応性にどの程度反映しているのか確認する。三日熱マラリア患者を種々の感染情報および原虫感染率を指標にグループ化し、各グループの間で抗体が検出されたPvSTPの型を比較し、特定の型のPvSTPあるいはVIRが三日熱マラリア感染患者情報・原虫感染率に関連しているか検討する。また、患者から治療前と治療後2週間、4週間、3カ月、6カ月後に血清を得て、PvSTP/VIR抗体が患者体内で維持される期間の検討を試みる。マラリア対策が強化されてきている影響と考えられるが、マラリア原虫感染者数が減少している。原虫採集率が悪い場合は、一年間の延長も考慮する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
収集した原虫標本数が予定の数に達していないため、ELISAおよび遺伝子解析を行わなかった。 タイ・ミャンマー国境のメソト地区を中心に30から50標本を目標として収集すること、十分な標本数が収集でき次第ELISAおよび遺伝子解析を行うことに使用する予定である。
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