2014 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおける新種病原アメーバの分布とゲノム多様性に関する研究
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24406013
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
橘 裕司 東海大学, 医学部, 教授 (10147168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正規 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70112688)
小見山 智義 東海大学, 医学部, 准教授 (60439685)
牧内 貴志 東海大学, 医学部, 助教 (80587709)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 原虫 / 疫学 / 人獣共通感染症 / 遺伝子多様性 / Entamoeba nuttalli / 中国 / タイ / マカク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新たに発見した病原アメーバEntamoeba nuttalliについて、アジア各地における分布を明らかにするとともに、ゲノムの多様性を比較解析することを目的としている。今年度は、中国の峨眉山に生息する野生チベットモンキーについて糞便を採取し、各種Entamoebaの感染率をPCR法によって調べた。E. nuttalliは17%が陽性であったが、赤痢アメーバやE. disparは検出されず、4核の赤痢アメーバ様嚢子はE. nuttalliであることが明らかになった。6株を分離し、18S rRNA遺伝子の塩基配列を解析したところ、これまでに中国のアカゲザルから分離したE. nuttalli株と一致した。しかし、tRNA関連繰返し配列について6カ所の座位で解析を行ったところ、峨眉山のチベットモンキーに特異な配列が確認された。ネパールと中国のアカゲザルから分離したE.nuttalli株間では18S rRNA遺伝子の配列が異なることから、E.nuttalliの 遺伝子型に関して、宿主の種よりも地理的な要因の方がより強く関連していることが示唆された。この他、タイのアッサムモンキーからもE. nuttalliを分離でき、一部は完全無菌化に成功した。また、無菌培養しているE. nuttalli P19-061405株のゲノムについて、次世代シーケンサーと第3世代シーケンサーで得られたデータを用いてアセンブルを進めた結果、コンティグ数を約400まで減らすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中国やタイにおける調査は予定通り実施できた。新たな分離株を確立でき、遺伝子多型の解析も順調に進行している。また、標準株の全ゲノムシーケンス解析についても、順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
調査対象の地域や宿主マカクの種をさらに増やすことにより、より多様なE. nuttalli分離株を確立し、地理的分布の違いや宿主の種の違いと遺伝子多型との関係を解析する。
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Causes of Carryover |
中国における調査で海外共同研究者らの旅費を中国側で負担してもらえたこと、研究補助者の雇用時間数が当初の予定よりも少なかったこと、年度内に請求される遺伝子解析費用が少なかったことなどにより、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査旅費、遺伝子解析費用、論文投稿費用などに充当する予定である。
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Research Products
(2 results)