2012 Fiscal Year Annual Research Report
トリクロロエチレンによる重症薬疹様皮膚・肝障害の発症リスク評価バッテリーの開発
Project/Area Number |
24406019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
上島 通浩 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80281070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須 民江 中部大学, 生命健康科学部, 客員教授 (10020794)
内藤 久雄 名古屋大学, 医学研究科, 助教 (90547556)
山ノ下 理 中部大学, 生命健康科学部, 講師 (50424924)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トリクロロエチレン / 皮膚障害 / 重症薬疹 / 過敏症症候群 / 有機溶剤 / 遺伝子多型 / 尿中代謝物 / 生物学的モニタリング |
Research Abstract |
有機溶剤トリクロロエチレンによる、重症薬疹に酷似し生命に危険が及ぶ全身性皮膚・肝障害が中国で多発している。従来の労働衛生対策では発症の完全予防は困難で、個人の発症・重症化リスクをより正確に評価できる方法の確立が求められている。そのために、感受性遺伝子多型の有無と、(1)TRI曝露量、(2)TRI感作の有無、(3)予後を左右するHHV6再活性化の有無との関係を解明するのが本研究の目的である。 平成24年度は以下の検討を行った。感受性遺伝子多型とされるHLA-B*1301の有無を、全身性皮膚・肝障害患者40名と曝露対照者92人について分析した。患者40名のうちHLA-B*1301多型保持者は26名(65%)、曝露対照者92人のうち同多型保持者は20名(22%)で、オッズ比は5.7(95%信頼区間2.6-12.4)であった。このうち、多型と尿中代謝物トリクロロ酢酸の濃度情報とが共にある患者28人、対照者81人について、多型の有無とトリクロロ酢酸濃度との関係を解析した。患者群,対照群ともに多型の有無別の代謝物トリクロロ酢酸の濃度の有意差はみとめられなかった。また、非曝露対照者として、患者が発生している中国広東省の火力発電所で働く作業者89名(男45名、女44名、年齢46.7土7.1歳)を対象に、血液、尿を採取した。尿中のトリクロロ酢酸、トリクロロエタノール濃度は同僚作業者全員検出下限値以下であった。血清中TNFαおよびIL-10の幾何平均(幾何標準偏差)濃度はそれぞれ、19.9(3.8)pg/ml、4.1(1.3)pg/mlであり、ALT、AST値が100U/Lを超える者は見られなかった。 3月初旬には、これまでに得られた結果とこれからの研究実施計画について、海外共同研究者、研究分担者、連携研究者、研究協力者とともに討論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外共同研究者との間には信頼関係が成立しているが、尖閣諸島問題が勃発し、調査のスムーズな進行に支障が生じた。また、患者発生数が減少していることも進捗がやや遅れていることの理由の1つである。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的にはH24年度当初の計画に従って実施するが、抗原として想定される蛋白の抗体作成が遅れているため、血清中のチトクロム2E1を測定する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品類の節約に努めた結果若干の繰越額が生じた。一方、現地調査には当初見込んだ額以上に費用がかかっているため、繰越額と翌年度研究費で中国調査(謝金・旅費等)支出に充当する予定である。その他の研究費は初年度同様に解析を進めるため物品費や人件費を予定している。
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Research Products
(2 results)