2013 Fiscal Year Annual Research Report
中国雲南省の静注薬物常用者のHIV感染リスクの評価と対策構築に関する研究
Project/Area Number |
24406024
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山本 太郎 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (70304970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 渉 青山学院大学, 文学部, 教授 (70221744)
小堀 栄子 摂南大学, 看護学部, 教授 (00422931)
橋爪 真弘 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (30448500)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | HIV / 中国 / 感染症疫学 / 国際保健 |
Research Abstract |
本研究の目的は、第一に、メサドン維持療法(MMT: Methadone Maintenance Therapy)に参加している静注薬物常用者(IDUs:Intravenous Drug Users)のHIV新規感染率を調査し、MMTがHIV新規感染に与える影響を評価し、第二に、IDUsに対する効果的エイズ対策を提案することである。また、過去20年間の中国における感染症対策の変遷も研究の視野に入れている。感染症から慢性疾患も含めた疾病構造へと中国社会が変化する中、その様子を社会学の視点からまとめる作業も始めている。その上で、新規HIV感染者からウイルスを分離し、HIVのサブグループを決定し、IDU集団におけるHIVの由来を推定するということを目指している。 また、世界的に、HIV感染への効果的な予防対策として、感染者に対する治療が注目されている中、中国において、治療が予防に与える影響を評価した。その結果は平成25年度に、英文雑誌『Plos One』に投稿、受理され、公表されたなかで、中国において、HIV治療の開始の遅延が、偏見や知識のなさに起因すること、早期の治療が、治療に対する良好な成績をもたらすこと等を明らかにした。また、その結果に基づく、提言を行った。また、IDUの感染経路として重要な針等の廃棄物の安全性や安全な取り扱いについて、中国の医療機関、学校等を対象に調査を行い、その結果を現在英文雑誌に投稿準備中である。 こうした活動を通じて、医療従事者のIDUに対する偏見や差別は着実に減少してきた。また、中国における感染症対策の変遷に関する研究も進んできている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究から対策へと着実に進展しており、また、研究結果の公表も、昨年度、中国におけるエイズ治療に関する論文(「Steps towards preventive HIV treatment in Fujian, China:Problems identified via an assessment of initial antiretroviral threrapy provision」)をPlosOneに掲載しており、また、現在2本の英文論文を執筆中であり、加えて、2本の現地語論文を投稿中である。また、みすず書房より『エイズの起源』を単訳として上梓したことも成果の一つと考えている。おおむね順調に進んでいる。中国疾病予防中心(CDC)との連携も順調に進んでおり、また、付加的な研究の成果として、医療従事者のHIV、IDUに対する態度に変化が見られたこと、また、中国のエイズ対策が急性感染症対策から慢性疾患へのアプローチに変化ししつつあり、その変化についての提言を行うなど、中国における感染症対策に関する社会制度的な研究も行っており、おおむね順調に進展していることから、進展は順調だと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は、執筆中の英文、中文の論文を投稿すると同時に、分子疫学的研究とこれまでのフィールド研究、および感染数理モデルを結びつけて新たな展開を図る予定である。分子疫学的研究では、サブタイプの由来の同定やHIVの分子進化速度の経年変化の推移なども見ていきたいと考えている。また、新規感染者数の変化から現在の中国におけるHIV感染リスクにも言及していきたい。中国では、輸血、薬物によるHIV感染の影響が現在もなお続いており、そうした影響のあり方についても見ていく予定である。今年度は、科学研究費最後の年にあたり、日中の合同シンポジウムでは、雲南大学の歴史研究班も入れた、「文」と「理」と「医」の融合したシンポジウムも計画している。そうしたシンポジウムを通じて成果の還元を図りたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬等の購入を予定していたが、想定より使用量が少なかったため 日中合同シンポジウムを企画しており、その費用を計上する。また、フィールドからのサンプルを中心に、遺伝子解析を行う予定であり、そのための試薬費を計上している。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Integrating Sustainable Development Goals (SDGs) into a Post-2015 Development Agenda Authors2014
Author(s)
Norichika Kanie, Naoya Abe, Masahiko Iguchi, Yang Jue, Kabiri Ngeta, Kitamura Yuto, Shunsuke Managi, Ikuho Miyazawa, Simon Olsen, Tomohiro Tasaki, Taro Yamamoto, Tetsuro Yoshida.
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Journal Title
Sustainability
Volume: 6
Pages: 1761-1775
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Steps towards preventive HIV treatment in Fujian, China:Problems identified via an assessment of initial antiretroviral threrapy provision2013
Author(s)
Pincang Xia, Junko Okumura, Pingping Yan, Meirong Xie, Shouji Wu, Meizhu Zhuang, Jian Zheng, Chunyang Zhang, Masaya Kato, Guoxi Cai, Taro Yamamoto.
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Journal Title
PLos One
Volume: 8
Pages: e76483
DOI
Peer Reviewed
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