2013 Fiscal Year Annual Research Report
わが国で発見された感覚障害を伴う家族性運動ニューロン病の海外学術調査と病態解明
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24406030
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中川 正法 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50198040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出雲 周二 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30143811)
梶 龍兒 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00214304)
高嶋 博 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80372803)
滋賀 健介 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90336751)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳神経疾患 / 神経科学 / 遺伝性ニューロパチー / 家族性ALS / HMSN-P / TFG遺伝子 |
Research Abstract |
われわれは昨年度の本研究にて、沖縄県と滋賀県に多発する感覚障害を伴う常染色体優性遺伝の家族性運動ニューロン病(hereditary motor and sensory neuropathy with proximal dominancy: HMSN-P)の原因遺伝子が TRK-fused gene(TFG c.854C>T 、p.Pro285-Leu) 変異であることを解明した(Am J Hum Genet. 91:320-329, 2012)。また、ハプロタイプ解析の結果、沖縄家系と滋賀家系のTFG変異は独立した起源をもっていることも明かとなった。TFGの解明は大きな反響を呼び国内外から類似家系の遺伝子解析の要請があり、HMSN-Pにおける変異と異なる新たなTFG変異を見いだした(未発表データ)。これらの家系の中には家族性筋萎縮性側索硬化症(FALS)もあり、われわれが予想していたように、HMSN-Pが国内のみならず世界中にひろく存在すること、HMSN-Pの研究がFALSの病態解明につながることが明らかとなった。 本研究では、1)北米、南米、アジア諸国でのHMSN-P家系および類似家系の国際疫学調査、2)HMSN-P患者の神経組織における家族性ALS関連遺伝子の分子病理学的検討、3)HMSN-Pの原因遺伝子であるTFGの詳細な機能解明、4)TFG変異マウスの作成、iPS細胞の作成等による病態解明と治療法の開発を目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HMSN-Pの原因遺伝子がTFG遺伝子であることを解明したことにより、HMSN-Pと家族性ALSとの分子病態上の関連が明らかになりつつある。次年度以降も計画通りに研究を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降も、ブラジル、米国、韓国におけるHMSN-Pの調査を各国の神経内科医の協力を得て継続する。さらに、ブラジル以外の南米諸国(ペルー、アルゼンチン)、韓国以外のアジア諸国の神経内科医を対象として、HMSN-Pの臨床病態についての学術カンファレンスを2014年8月31日に京都にて行い、HMSN-Pの臨床的、病理学的、分子遺伝学的特徴に関してコンセンサスを得る。各症例の臨床症状、神経生理学的所見について検討し、必要に応じて神経生検を行う。同意を得られた家系については、遺伝子解析用の採血または口腔粘膜組織・唾液採取を行いDNAを抽出し解析する。前年度と同様に、HMSN-P患者の病理解剖が行われた場合は、脊髄、後根神経節などの組織を中心に神経病理学的検討、ALS関連蛋白を中心とする分子病理学的検討を行う。 上記諸国にけるHMSN-Pの神経生理学的、病理学的、分子生物学的検討を行い、わが国における検討も含めてHMSN-Pの発症病態を明らかにする。HMSN-P原因遺伝子であるTFGの特性を明らかにするために、培養細胞への異常遺伝子の導入、ショウジョウバエのモデルの作成(中川、山口)、トランスジェニックモデルマウスの作成(梶、高嶋、小泉)、iPS細胞の作成(京都大学iPSセンターへ依頼)等により本症の病態を分子レベルで明らかにし、治療法の開発を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年度にHMSN-Pに関する国際会議開催を計画をしている 国際会議の開催等に使用する予定である。
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Research Products
(13 results)