2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500003
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中西 正樹 山形大学, 教育文化学部, 准教授 (40324967)
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Keywords | 量子計算モデル / 量子プッシュダウンオートマトン / 量子計算機シミュレータ / VLSI設計 |
Research Abstract |
量子計算モデルの能力に対してメモリのアクセス方法がどのような影響を及ぼすかについて,理論的な考察を行った.対象とする量子計算モデルとしてガーベッジテープ付量子プッシュダウンオートマトンを提案した.ガーベッジテープは古典計算モデルでは能力の向上に寄与しないが,量子計算モデルでは能力に影響を及ぼす場合があることが知られている.本研究の結果として,ガーベッジテープ付量子プッシュダウンオートマトンの計算能力が決定性,非決定性,片側誤りの各条件において対応する古典計算モデルよりも高くなることを示した.本研究により,後入れ先出しのメモリアクセスおよびガーベッジテープが量子計算にどのような影響を及ぼすかについての知見を得ることができた. また,高速に量子計算機のシミュレーションを行うハードウェアアーキテクチャを考案した.量子計算機のシミュレーションには,確率振幅のペアを選択する操作が不可欠である.単純にはこのペアの選択には選択回路を用いるが,この際,選択回路が大きくなりボトルネックとなってしまう.本研究で提案したアーキテクチャは,レジスタの並び替えを用いて確率振幅の選択を行うことにより選択回路を不要とし,高速かつ省面積な回路を実現している.本研究では提案したハードウェア量子回路シミュレータをFPGA上に実装し,その性能を評価した.これまでに考案された同種のハードウェアシミュレータと比較してシミュレーション可能な量子回路の大きさについてスケーラブルであり,ソフトウェア量子計算機シミュレータと比較して高速に動くという結果を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アーキテクチャ上の制約を課した量子計算モデルの能力についての結果として,ガーベッジテープ付量子プッシュダウンオートマトンの能力の解析に成功した.また,量子アルゴリズムのシミュレーションに関してはレジスタの並び替えを用いて高速化を行うハードウェア量子計算機シミュレータを開発し,実装を行うところまで研究が進んでいる.これらの結果より,本研究は順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
量子計算モデルの理論的な解析については,昨年度得られた知見を元に量子プッシュダウンオートマトンや量子有限オートマトンに対するガーベッジテープの影響をさらに掘り下げて解明する.また,提案した量子計算モデルの一般化についても合わせて研究を行い,量子計算機の優位性を示す. 量子計算機シミュレータについては,シミュレーション対象の量子回路に対して前処理を行うことで更なる高速化を達成できる可能性がある.このことについて研究を行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
成果発表の予定の変更のため,次年度使用額が生じた 成果発表のための旅費等に使用する予定である.
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Research Products
(4 results)