2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
堀山 貴史 埼玉大学, 情報メディア基盤センター, 准教授 (60314530)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アルゴリズム / 列挙アルゴリズム / 展開図 / 多面体 / タイリング / 計算幾何学 |
Research Abstract |
列挙アルゴリズムは、与えられた制約条件を満たす解を一つだけではなく、すべて求めるための技術である。本研究では、逆探索や BDD (二分決定グラフ), ZDD (零抑制二分決定グラフ) といった列挙の要素技術を統合し、幾何図形の列挙アルゴリズムを設計する。本年度は、中心的な研究テーマとして、(1) 多面体の展開図の列挙、(2) タイリングの列挙に取り組んだ。これらは、計算幾何の基礎研究としての側面だけでなく、たとえば、展開図は機械部品の板金設計に、タイリングは絵画のみでなく壁紙やカーテン等の工業デザインに、分野横断的に利用される。 多面体の展開図の列挙については、(1) 辺にラベルが付いているとしてその切り開き方を示した辺ラベル付き展開図を求める、(2) 同型な展開図を排除して本質的に異なる展開図のみを求める、の2ステップの手順をとる。正多面体の展開図の列挙において、(1) 展開図になるための制約条件 (開切辺は頂点数-1 本、また開切辺がサイクルを持たない) を BDD で表す、(2) 同型性の制約条件 (同型な置換による辺ラベルの入れ換え) を BDD で表して (1) の BDD と結合、との手法を用いたが、これが一般の多面体に対しても適用可能であることを確認した。また、フロンティア法を適用すれば (1) を高速に実行できることを示した。 タイリングの列挙については、p4 タイリング (90度回転によるタイリング) を取り上げ、逆探索により p4 タイリング可能なポリオミノ (複数の単位正方形を辺々接着した平面図形) を列挙するアルゴリズムの設計と実装を行った。(1) 家系木の根の図形の設計、(2) 子→親のルールの設計、(3) 親→子のルールの設計と、逆探索に基づく3ステップの設計を行った。また、アルゴリズムの健全性と完全性の証明を行うことで、理論的な性能保証を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多面体の展開図の列挙について、提案アルゴリズムが一般の多面体に適用可能であることを確認するとともに、その高速化についても確認した。また、多面体によっては辺ラベル付き展開図の個数が膨大 (たとえば 角切り二十面体の辺ラベル付き展開図は 375,291,866,372,898,816,000個) となる場合があり、この時には BDD/ZDD の作成途中の節点数が爆発的に増加すると予想される。この場合への対処のため、展開図を列挙せずに個数を数え上げる手法を検討した。 タイリングの列挙については、p4 タイリング可能なポリオミノの列挙アルゴリズムを設計し、その健全性と完全性の証明を行うことで、理論的な性能保証を与えた。また、計算機実験により既存手法よりも多くのポリオミノの列挙に成功した。さらに、過去に生成した図形を記憶しておく必要がないため、省メモリで実行できることを確認した。 以上のように、研究計画に沿って、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
多面体の展開図については、展開図の同型性の排除に主眼をおき、非同型な展開図の個数 (本質的に異なる展開図の個数) を求める手法を検討する。既存手法として、行列計算により正多面体の非同型な展開図の個数を求める手法と、それを拡張して4次元正多胞体にした手法が知られている。これをさらに拡張し、任意の多面体に対し、その非同型な展開図の個数を求める手法を設計する。また、この手法を実装し、整面凸多面体 (正多面体、半正多面体など) に適用して、それぞれの非同型な展開図の個数を実際に求める。さらに、展開図の数え上げや列挙のアルゴリズムについての研究が進展するにつれて、各展開図が自己交差を持つか (展開後の面と面が重なりを持つか) を確認する必要性が認識されてきたため、これについても検討を行う。 タイリングの列挙については、p4 タイリング可能なポリオミノの列挙手法の拡張を検討する。具体的には、p3 タイリング (120度回転によるタイリング) および p6 タイリング (60度回転によるタイリング) を取り上げる。p3 タイリングではポリアモンドおよびポリヘックス、p6 タイリングではポリアモンドを生成の対象とする。ここで、ポリアモンド、ポリヘックスは、複数の単位正三角形、単位正六角形を辺々接着した平面図形である。直交格子上でポリオミノを扱った p4 タイリングと異なり、p3 タイリングおよび p6 タイリングでは、三角格子上でポリアモンドを、六角格子上でポリヘックスを扱う必要がある。これらの格子上では隣接関係が異なるため、p3, p6 タイリングに特有の性質を利用したルールを追加する必要があるかについて慎重に検討する必要がある。 テンセグリティの列挙についても、テンセグリティ構造をとり得るトポロジーを列挙するなど、検討を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(13 results)
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[Presentation] Algorithms for Computing Optimal Image Segmentation using Quadtree Decomposition
Author(s)
J. Chun, T. Horiyama, T. Ito, N. Kaothanthong, H. Ono, Y. Otachi, T. Tokuyama, R. Uehara, T. Uno
Organizer
Thailand-Japan Joint Conference on Computational Geometry and Graphs
Place of Presentation
Srinakharinwirot University, Bangkok, Thailand
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[Presentation] Base location problems for base-monotone regions
Author(s)
J. Chun, T. Horiyama, T. Ito, N. Kaothanthong, H. Ono, Y. Otachi, T. Tokuyama, R. Uehara, T. Uno
Organizer
7th International Workshop on Algorithms and Computation
Place of Presentation
Indian Institute of Technology, Kharagpur, India
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