2014 Fiscal Year Research-status Report
新世代暗号の安全性を支える困難性仮定の正当性検証技術の開発
Project/Area Number |
24500015
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
吉田 真紀 独立行政法人情報通信研究機構, ネットワークセキュリティ研究所セキュリティアーキテクチャ研究室, 主任研究員 (50335387)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 暗号 / 困難性仮定 / 正当性検証 / Bilinear Group / Generic Model |
Outline of Annual Research Achievements |
情報セキュリティの基幹技術である暗号の安全性は,ある種の数学問題の求解が困難であること(困難性仮定)に支えられている.本研究の目的は, Bilinear Group(BG)と呼ばれる数学的構造に基づく新世代の暗号に対して,その安全性を支える困難性仮定の正当性を保証する技術の開発である.現状,困難性仮定の正当性を保証する唯一の方法は,Generic Model (GM) と呼ばれる計算モデルにおいて問題の困難性を証明することである.そのために,以下の四つを達成することを目標としている.(1) 困難性仮定の定式化,(2) GMにおける困難性証明の自動生成法の設計,(3) 提案法の実装と適用実験による有用性確認,(4) 暗号設計者向けツールの開発.平成26年度は,(4) を中心に行いつつ,困難性仮定の最も一般的なクラスを対象に (2), (3) も行った. (2) GMにおける困難性証明の自動生成法の設計:新世代暗号で用いられている BG には,素数位数と合成数位数の2種類がある.平成26年度は合成数位数の GM の定式化し,定式化した GM における正当性証明の具体例を作成した.その際,前年度の知見を活かし,各クラスの任意の困難性仮定に対する正当性証明法と攻撃有無判定・導出の定式化まで一般化した. (3) 提案法の実装と適用実験による有用性の確認:提案した攻撃有無判定・導出法を,数式処理システムを用いて実装した.実装システムは,前年度に開発した,困難性仮定の記述からプログラムを自動生成する実験システムを拡張した形となっており,前年度までの GM に対しても対応しており,汎用性がある. (4) 暗号設計者向けツールの開発:ツールとして PC 単体で動くシステムを開発した.検証結果を有効利用できるように,正当性の判定結果に加えて,攻撃や正当性証明の記述を出力するようにしている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度に,国内で提案した困難性仮定の正当性検証方式を,国際会議に投稿すると共に,論文誌に投稿し,データベース化をする予定であったが,海外の研究者グループが同様の方式を先に提案したため,計画を変更し,対象をさらに拡張した上で(困難性仮定のさらに広いクラスと新世代暗号そのものを対象とする),次年度に国際会議と論文誌に 投稿し,データベース化することとしたため,進捗に遅延が生じた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に拡張した対象(新世代暗号)について, (1) 定式化を完了したため,平成27年度の前半に (2) GMにおける安全性証明の自動生成法の設計,(3) 提案法の実装と適用実験による有用性確認,(4) 暗号設計者向けツールの開発を,前年度までの知見と成果物を活かして実施する.それと並行して,国際会議と論文誌への投稿、データベース化を行い,速やかな成果の創出を目指す.
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Causes of Carryover |
平成26年度に,国内で提案した困難性仮定の正当性検証方式を,国際会議に投稿すると共に,論文誌に投稿し,データベース化をする予定であったが,海外の研究者グループが同様の方式を先に提案したため,計画を変更し,対象をさらに拡張した上で(困難性仮定のさらに広いクラスと新世代暗号そのものを対象とする),次年度に国際会議と論文誌に投稿し,データベース化することとしたため,未使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議と論文誌への投稿,データベース化を次年度に行うこととし,未使用額はその経費に充てることとする.
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