2013 Fiscal Year Research-status Report
ナチュラルコンピューティングにおける非同期性に関する研究
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24500019
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤原 暁宏 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (10295008)
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Keywords | アルゴリズム / ナチュラルコンピューティング |
Research Abstract |
近年,新しい計算パラダイムの1つとして注目を集めているナチュラルコンピューティングは,細胞等の各資源の活動を計算と考え,細胞間の情報伝達経路をネットワークと考えることにより,自然界の持つ自律的な処理の仕組みを用いて並列分散処理を行うという計算方式である.本研究では,従来のナチュラルコンピューティングで無視されがちな生体系のもつ非同期性について計算能力の検証を行うとともに,非同期性を考慮したアルゴリズムの提案を行っている.また,並列処理を用いて非同期性を考慮した計算モデルのシミュレータの開発を行い,そのシミュレータを用いて提案アルゴリズムの正当性,及び,実効性の検証も行う予定である. 平成25年度は以下のような内容を中心に研究を行った. 1. 計算困難問題に対するアルゴリズムの提案:膜計算に関する既存の研究は同期式の動作を用いて考えられたものが多く,非同期性を考慮して提案されたアルゴリズムはほとんど存在しない.そこで本研究では,様々な計算困難な問題に対して,非同期性を考慮した計算モデルにおいて実行可能なアルゴリズムの提案を行っている.本年度においては,特にグラフにおける計算困難問題に着目してアルゴリズムの提案を行った. 2.膜計算以外のナチュラルコンピューティングにおける計算モデルの検証とアルゴリズムの提案:本年度は,計算モデルとして生化学反応計算,及び,数値変数を扱う膜計算に関して,モデルの検証と基本的アルゴリズムの提案を行った. 3.非同期性を考慮した並列膜計算シミュレータの開発:非同期性を考慮した膜計算に関して,アルゴリズムの 実行をシミュレートするシミュレータの開発を行っている.本年度においては,並列処理を行う対象をGPGPUとし,並列計算に関する基礎実験を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非同期性を考慮した膜計算における基本演算アルゴリズムの提案については,1本の学術論文,及び,1件の国際会議発表,及び,1件の国内発表として研究内容の公表を行った.また,今年度の研究成果として平成26年度において3件の国際会議発表を検討している. また,非同期性を考慮した並列膜計算シミュレータの開発についても開発は順調に行われており,提案アルゴリズムの正当性の検証を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,以下のような内容を中心に研究を行う予定である. 1.提案アルゴリズムの改良,及び,新しいアルゴリズムの提案:平成24年度及び平成25年度において得られたアルゴリズムに対して,実際の細胞の制約条件を考慮し,オブジェクトの個数に関する評価尺度を加えて,アルゴリズムの効率の更なる改良を目指す.なお,アルゴリズムの計算量については,制約条件を考慮した改良を加えても悪化することがないよう注意する予定である.また,平成24年度及び平成25年度で取り組んだ問題以外にも,重要な問題は数多く存在するので,その他の問題に対してもアルゴリズムの提案を行う予定である. 2.GPGPU上で動作する並列膜計算シミュレータの開発:膜計算では取り扱うデータ量が膨大であるため,1台の計算機を用いるシミュレータでは小規模なシミュレーションしか実行することができない.そこで,平成25年度よりGPGPUによる並列処理環境に対して並列膜計算シミュレータの実装を目指して研究を行っている.シミュレータの機能として,1台の場合のシミュレータの機能に加えて,並列化による処理の効率化の度合いや実行時間の変化等を検証可能とする予定である. 3.ナチュラルコンピューティングにおけるその他の計算モデルにおける非同期性の考察:ナチュラルコンピューティングにおいて膜計算以外に注目を集めている計算モデルとして,生化学反応をモデル化した生化学反応計算や数値変数を扱う膜計算が注目を集めている.本研究では,これらの計算モデルにおいても非同期性をはじめとする実際の神経細胞の動作を考慮して計算モデルの改良を行うとともに,計算困難な問題や基本的な演算についてアルゴリズムの提案を行うことを目指す.
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Research Products
(3 results)