2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500040
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
増田 澄男 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80173748)
|
Keywords | アルゴリズム / グラフ理論 / 描画 |
Research Abstract |
階層グラフの自動描画法に関する従来の研究の多くは直線描画(連続する階層の頂点間を結ぶ各辺を直線で描く描画)を求めるものであった.しかし,グラフの頂点数や辺数が多くなると,直線描画では辺の交差数が多くなりすぎ,非常に見づらくなることがある.本研究の目的は,複雑な階層グラフであっても明確な直交描画(辺を垂直・水平線分からなる経路として描く描画)を求め得るアルゴリズムを開発することであり,その手順として以下のようなものを考えている. (1) 階層をまたぐ各辺上にダミー頂点を設け,共有化処理を行う.(2) 辺の集合を高階辺に分割する.(3) 各階層上の頂点の配置順序を定める.(4) 各階層における頂点の配置座標を定める.(5) 辺を描き,直交描画を求める. 平成24年度は,主に(2)及び(5)の検討を行った.特に(5)に関しては,各高階辺を構成する水平・垂直線分の配置を求める問題を,辺に重みを付けたある有向グラフの最小帰還辺集合のうち,辺の重みの和が最大のものを求める問題として定式化し,それに対する発見的手法を提案した. 平成25年度は,主に(5)の方法の見直しと,(4)及び(1)の検討を行った.(5)に関しては,(4)までで頂点位置を決定し,本研究で設けている制約の下で高階辺の描画を行うときの辺交差数の下界を求める方法を作成した.そして,24年度に作成したアルゴリズムが,その下界に近い辺交差数の描画を求め得ることを示した. (4)に関しては,直交描画中の水平線分の長さの総和が最小となるように頂点座標を決定する方法を作成した.また,(1)に関しては,階層グラフを直線描画する場合に辺交差数が少なくなるようなダミー頂点共有化手法を開発した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,前述のように,階層グラフの直交描画アルゴリズムとして,ステップ(1)~(5)からなるものを考えている.交付申請書では,平成24年度の研究実施計画を,(2)及び(5)の検討を行い,(1)の研究を始めることとしていた.また,平成25年度の研究実施計画を,(1)の研究を続けるとともに,(4)のアルゴリズムを作成することとしていた. 「研究実績の概要」で述べたように,これまでに,(2), (4), (5)の三つのステップに関して一応の成果を得ることができている. ステップ(1)に関しては,階層グラフを直線描画する場合に辺交差数が少なくなるようなダミー頂点共有化手法を開発している.この方法は,ダミー頂点数削減を目的としたこれまでの方法に比べ,連続したある2階層の間に辺が集中することを減らし得る傾向にあり,そのため,直交描画作成に用いた場合も,辺交差数の減少や,線分の混雑の緩和が期待できると考えている. 以上のように,本研究は,概ね当初の計画通りに進めることができている.
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成26年度には,まず,これまでに開発したステップ(1), (2), (4)及び(5)のアルゴリズムの見直しを行う.特に,(1)に関して,25年度に開発したダミー頂点共有化手法を直交描画作成に用いたときの効果を確認し,必要に応じて改良を行っていくことにしている.また(5)に関しても,高階辺の描画を行う際に設けている制約を若干緩め,辺交差数が更に少ない描画を求める方法を作り得ないか検討する予定である. 以上の検討の終了後,ステップ(3)のアルゴリズムを開発する.(4)以降を実行したときに辺交差数が少なくなり,かつ線分の混雑を回避できるような頂点順序を求めるために有効なアルゴリズムの設計を行う予定である.
|
Research Products
(5 results)