2012 Fiscal Year Research-status Report
高品質なソフトウェア開発のためのテスト可視化手法の提案
Project/Area Number |
24500044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
片山 徹郎 宮崎大学, 工学部, 准教授 (50283932)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ソフトウェアテスト / テストケース / テストケースの可視化 / UML / 単体テスト / 結合テスト |
Research Abstract |
本研究の目的は、高品質なソフトウェア開発を行うために、テスト手法の可視化を行い、高度情報化社会および安全・安心を第一とする社会における情報技術への更なる要求に、迅速に対応できる基盤を与えることにある。今年度は以下のことを行った。 1.テストの実施状況をユーザにリアルタイムに提示するために、昨年度までにJavaプログラムを入力として、テスト実施前にテストコードの作成を必要としないランダムテスト法を用いた単体テスト自動実行ツールを試作した。今年度は、このツールをJvisと名付け、適用範囲の拡大を目的とした拡張を行い、その有用性を評価し、ソフトウェアエンジニアリングシンポジウムやソフトウェアサイエンス研究会、宮崎大学工学部紀要にて発表した。 2.テストにおける漏れや不備、重複などを防止するため、テストケースの可視化について検討を行った。まず、従来自然言語で記述されるテストケースについて、図を使った表現が可能かどうかについて検討した。次に、検討結果に基づいて、要求分析や設計において用いられているUML(Unified Modeling Language)をベースとした、テスト用コミュニケーション図とテスト用状態マシン図を新たに提案した。提案した2つの図の有用性について評価し、電気関係学会九州支部連合大会、JaSST'12 Kyushu、ICST2013にて発表した。また、テストアーキテクチャの概念についても可視化を試み、IWCT 2013にて発表した。 3.Javaプログラムのソースコードから実行パスを生成し、結合テストを支援するツールAvisを、昨年度までに拡張した。今年度は、この拡張したAvisの有用性について具体的な評価を行い、電子情報通信学会論文誌にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、以下の3つの項目から成る。 1.テスト自動実行ツールの適用範囲の拡大。2.テストケースの可視化に関する検討。3.結合テスト支援ツールAvisの拡張。 以下、これらの項目について個別に記述する。 1.については、実施計画通り、適用範囲の拡大を目的とした拡張を行い、ツールをJvisと名付け、その有用性を評価した。このことから、この項目については「おおむね順調に進展している」と言える。2.については、実施計画では、従来自然言語で記述されるテストケースの可視化がそもそも可能かについて検討をするとしていたが、検討開始早々にUMLの表記を利用した可視化を試み、テスト用コミュニケーション図とテスト用状態マシン図を提案することができた。さらに、提案手法について評価を行い、学会発表も行った。このことから、この項目については「当初の計画以上に進展している」と言える。一方、3.については、実施計画では、既に開発済のAvisについて具体的な評価を行った上で、現状の課題を洗い出し、テスト項目やテストデータの作成支援が可能となるようAvisを拡張する、としていたが、評価を行ったところまでしか進まなかった。このことから、この項目については「やや遅れている」と言える。 以上のことから、全体的には「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.テスト自動実行ツールJvisにおいて、データ表示の拡張方針について検討する。昨年度までに適用範囲の拡大を目的として拡張したテスト自動実行ツールJvisについて、テスト実施状況に関するより詳細な情報をプログラマに提示できるように、表示するデータに対しての拡張方針について検討する。すなわち、ツールの実行中にリアルタイムに確認できる情報として、既に実装済であるテスト実施済のコード表示に加えて、さらに表示するデータ候補について検討を始める。具体的には、実行済の分岐や実行中の場所表示、実際のテストデータなどを表示対象の候補として考えている。 2.テストケース可視化手法において、拡張の方向性について検討する。すなわち、昨年度までに提案した、テストケースの可視化のための、テスト用コミュニケーション図とテスト用状態マシン図の2つの図において、拡張の方向性について検討する。また、提案したこれら2つの図の自動生成についても検討し、さらに、テストケースを可視化する他の図の提案についても試みる。 3.昨年度までに結合テストツールとして評価したAvisについて、テスト支援となる情報をプログラマに提示することを目的として拡張する。すなわち、プログラムの振舞いに関する情報から、テストを実施する前に役立つ情報を可視化しユーザに提示できるようAvisを改良する。具体的には、テスト項目やテストデータ選定の際に支援となるプログラム中の条件式や境界値などを抽出して表示できるように、Avisを拡張する。また、ユーザインタフェースの改良についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として、ツールを実装・拡張するために必要となる環境構築のためのソフトウェアの費用、および、ソフトウェアテストに関する文献や書籍を購入するための費用が必要となる。 旅費については、ソフトウェアテストについて、最新の話題について議論し意見交換ができる産学を交えたグループに、申請者は複数所属しているため、その場(主に東京)に参加し議論する計画である。宮崎は、その立地状況から、九州以外の場所に行く際には、飛行機を利用することが前提となり、会議の開催場所と時間によっては、日帰りが難しく宿泊せざるを得ない場合がある。また、外国に行く際も、宮崎と日本の国際空港との行き来の際に、宿泊せざるを得ない状況が多い。以上から、旅費は多めの費用が必要となる。 謝金については、本研究の研究体制として、本研究室の複数の大学院生を研究協力者として見込んでおり、当該大学院生に、ツール拡張のためのプログラミング作業の補助や、ツールの機能や使用性に関するアンケートの実施と取りまとめ、関連文献の調査などを依頼する計画である。謝金として、そのための費用が必要となる。 その他の区分として、学会参加費や印刷費などの費用が必要となる。
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