2013 Fiscal Year Research-status Report
高品質なソフトウェア開発のためのテスト可視化手法の提案
Project/Area Number |
24500044
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
片山 徹郎 宮崎大学, 工学部, 准教授 (50283932)
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Keywords | ソフトウェアテスト / テストケース / テストケースの可視化 / UML / 単体テスト / 結合テスト |
Research Abstract |
本研究の目的は、高品質なソフトウェア開発を行うために、テスト手法の可視化を行い、高度情報化社会および安全・安心を第一とする社会における情報技術への更なる要求に、迅速に対応できる基盤を与えることにある。今年度は以下のことを行った。 1.テストの実施状況をユーザにリアルタイムに提示するために、Javaプログラムを入力として、テスト実施前にテストコードの作成を必要としないランダムテスト法を用いた単体テスト自動実行ツールをJvisを、昨年度までに試作した。今年度は、Jvisの適用範囲の拡大を目的とした機能拡張を行った。 2.テストにおける漏れや不備、重複などを防止するため、テストケースの可視化について、昨年度までにUML(Unified Modeling Language)をベースとした、テスト用コミュニケーション図とテスト用状態マシン図を提案した。今年度は、提案した2つの図の適用事例を増やすことによって、その有用性について評価し、ソフトウェアエンジニアリングリングシンポジウムや、宮崎大学工学部紀要にて発表した。 3.Javaプログラムのソースコードから実行パスを生成し、結合テストを支援するツールAvisを、昨年度までに拡張した。今年度は、このAvisのアイデアに基づいて、分散システムや、マルチスレッドプログラムについて適用可能かを検討した。さらに、Avisそのものの拡張として、デバッグ機能をツールに持たせることを検討した。分散システムへの検討結果を、電気関係学会九州支部連合大会とICAROBにて発表した。マルチスレッドプログラムへの検討結果を、ICAROBにて発表した。デバッグ機能についての検討結果を、電気関係学会九州支部連合大会とICAROBにて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、以下の3つの項目から成る。 1.テスト自動実行ツールJvisの適用範囲の拡大。2.テストケースの可視化に関する検討。3.結合テスト支援ツールAvisの拡張。 以下、これらの項目について個別に記述する。 1.については、実施計画通り、適用範囲の拡大を目的とした拡張を行った。ただし、今年度行ったこの拡張分の評価については今年度中に行えなかった。このことから、この項目については「やや遅れている」と言える。2.については、実施計画通り、従来自然言語で記述されるテストケースの可視化を試み、テスト用コミュニケーション図とテスト用状態マシン図を提案し、提案した2つの図の適用事例を増やすことによって、その有用性について評価した。このことから、この項目については「おおむね順調に進展している」と言える。3.については、実施計画では、既に開発済のAvisについて具体的な評価を行った上で、現状の課題を洗い出し、Avisを拡張する、としており、デバッグ機能についての検討結果した。さらに、Avisのアイデアを分散システムやマルチスレッドプログラムに広げて検討を行った。このことから、この項目については「おおむね順調に進展している」と言える。 以上のことから、全体的には「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.テスト自動実行ツールJvisにおいて、Webアプリケーション化について検討する。昨年度までに適用範囲の拡大を目的として拡張したテスト自動実行ツールJvisを、Webアプリケーションとして拡張し公開することによって、様々な適用事例に対して使用してもらうとともに、現在の機能や使い勝手について意見を集め、今後の拡張方針の検討材料とする。 2.テストケース可視化手法において、さらなる拡張について検討する。すなわち、昨年度までに提案した、テストケースの可視化のための、テスト用コミュニケーション図とテスト用状態マシン図の2つの図において、拡張の方向性について検討するとともに、テストケースを可視化する他の図の提案についても試みる。また、一昨年度に検討を開始した、テストアーキテクチャの概念の具体化すいるとともに、この可視化について検討を進める。 3.昨年度までに様々な方向性を検討をしたAvisについて、検討結果に基づいて、具体的な拡張やツール実装を行う。すなわち、分散システムへの適用、マルチスレッド対応機能の実装、デバッグ支援を含めた可視化機能の強化を中心に見据え、Avisを拡張する。また、ユーザインタフェースの改良についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度(1年目)の繰越額が多かったことが大きな理由であり、今年度(2年目)の計画としての予算配分額(90万円)分の使用については、ほぼ計画通り遂行し、今年度にその額は使い切っている。 物品費については、ツールを実装・拡張するために必要となる環境構築のためのソフトウェアの費用、および、ソフトウェアテストに関する文献や書籍を購入するために使用する。旅費については、ソフトウェアテストについて、最新の話題について議論し意見交換ができる産学を交えたグループに、申請者は複数所属しているため、その場(主に東京)に参加し議論する計画であり、そのために使用する。宮崎は、その立地状況から、九州以外の場所に行く際には、飛行機を利用することが前提となり、旅費は多めの費用が必要となる。謝金については、本研究の研究体制として、本研究室の複数の大学院生を研究協力者として見込んでおり、当該大学院生に、ツール拡張のためのプログラミング作業の補助や、関連文献の調査などを依頼する計画であり、そのために使用する。その他の区分については、学会参加費や印刷費などに使用する。
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