2012 Fiscal Year Research-status Report
マルチコア・シングルコア混在型組み込み制御システム向け並列・分散処理環境
Project/Area Number |
24500046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
横山 孝典 東京都市大学, 知識工学部, 教授 (60386357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兪 明連 東京都市大学, 知識工学部, 准教授 (80451384)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 組み込みソフトウェア / 分散処理 / 並列処理 / リアルタイムシステム / オペレーティングシステム / モデルベース開発 |
Research Abstract |
本研究の目的は、マルチコア・プロセッサ搭載組み込みコンピュータとシングルコア・プロセッサ搭載組み込みコンピュータが混在する分散型組み込み制御システムを対象に、ハードウェア構成やタスクの分散配置を意識せずにアプリケーションプログラムを開発可能とするとともに、リアルタイム性の保証を容易とする、「並列・分散リアルタイムOS」および「並列・分散制御ソフトウェア開発支援環境」を開発することである。 平成24年度は、「並列・分散リアルタイムOS」については、その基本機能の検討と実装実験を行った。具体的には、分散OSにおける分散共有メモリの実現方式の検討、設計、実装実験を行い、その成果を情報処理学会組込みシステム研究会にて発表した。また、マルチコア対応並列OSにおける同期機能(相互排除方式)の検討を行った。さらに、OSのスケジューリングアルゴリズムをカスタマイズする手法を提案し、その実装実験を行い、国際会議WASET ICEUC 2012及び情報処理学会組込みシステム研究会にて発表した。 「並列・分散制御ソフトウェア開発支援環境」については、モデル変換ツールの機能拡張およびリアルタイム性検証方式の検討と、マルチコア・プロセッサを対象としたスケジューリング方式の検討を行った。具体的には、モデル変換ツールを拡張して、コード合成機能の設計と実装実験を行い、その成果を論文誌IAENG International Journal of Computer Scienceに発表した。また、リアルタイム性検証機能として、データの整合性の検証を行う基本技術を提案するとともに実装実験を行い、その成果を情報処理学会組込みシステム研究会にて発表した。スケジューリング方式については、マルチプロセッサ環境及び分散処理環境を対象とした検討を行い、その成果を情報処理学会全国大会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画では、基本方式や仕様の検討を行うとともに、基本機能について実装を行うこととした。 「並列・分散リアルタイムOS」については、まず、全体の基本機能の検討を行うこととしたが、マルチコア・プロセッサ上およびネットワーク接続された組込みコンピュータ上のタスクを統一的に扱うためのタスク管理方法を決定した。また、分散OSについては、分散共有メモリの実現方式の検討、設計、実装実験を行い、その成果を発表することができ、順調に進めることができた。マルチコア対応並列OSについては、その中心的課題である同期機能(相互排除方式)の仕様を決定することができた。その設計については若干遅れ気味ではあるが、計画を見直す必要があるほどではない。 「並列・分散制御ソフトウェア開発支援環境」については、まず、モデル変換ツールの機能拡張を検討することとしたが、コード合成について設計、実装まで行い、その成果を発表することができた。また、リアルタイム性検証に関しては、研究実施計画では方式検討のみを行う予定であったが、マルチタスク環境でのデータの整合性の検証については実装実験まで進めて、その成果を学会発表することができ、当初計画以上に進めることができた。スケジューリングアルゴリズムについても、ほぼ予定した内容の検討を行うことができた。 以上のように、若干遅れ気味の研究項目もあるが、計画以上に進めることができた研究項目もあり、全体としては、ほぼ順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の成果をもとに、「並列・分散リアルタイムOS」および「並列・分散制御ソフトウェア開発支援環境」の詳細設計および実装を進める。 「並列・分散リアルタイムOS」については、まず、引き続き分散共有メモリ機能を持つ分散OSの設計および実装を進める。また、前年度の検討結果に基づき、マルチコア対応並列リアルタイムOSの設計および実装実験を行う。分散OSの実装とマルチコア対応並列OSの実装後に、両者を統合化し、「並列・分散リアルタイムOS」の開発を完了する計画である。 「並列・分散制御ソフトウェア開発支援環境」については、モデル変換ツールの対象を状態遷移を伴う制御モデルまで拡張するとともに、分散・並列処理への対応についても検討し、設計および実装を行う。また、リアルタイム設計・検証ツールとしては、マルチコア・プロセッサ上での並列動作を考慮したデータの整合性の検証方式の検討を行い、そのツール化を進める。さらに、マルチコア・プロセッサを対象としたスケジューリング方式の詳細検討およびシミュレーション実験を行う。そして、開発したツール群を統合化し、「並列・分散制御ソフトウェア開発支援環境」の開発を完了する計画である。 研究体制としては、研究代表者と研究分担者のほか、大学院生と学部4年生合わせて7名程度が研究に従事する計画である。マルチコア対応並列OSについては、担当者を増やして体制を強化する。企業の研究協力者によるレビューを定期的に実施しながら、実用性の高い技術開発を行う予定である。 また、各研究項目の成果について、学会発表や論文投稿を行うことを計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度も、予定通り執行し、計画通り研究を進める予定である。
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