2013 Fiscal Year Research-status Report
マルチコア・シングルコア混在型組み込み制御システム向け並列・分散処理環境
Project/Area Number |
24500046
|
Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
横山 孝典 東京都市大学, 知識工学部, 教授 (60386357)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兪 明連 東京都市大学, 知識工学部, 准教授 (80451384)
|
Keywords | 組み込みソフトウェア / 分散処理 / 並列処理 / リアルタイムシステム / オペレーティングシステム / モデルベース開発 |
Research Abstract |
本研究の目的は、マルチコア・プロセッサ搭載組み込みコンピュータとシングルコア・プロセッサ搭載組み込みコンピュータが混在する分散型組み込み制御システムを対象に、ハードウェア構成やタスクの分散配置を意識せずにアプリケーションプログラムを開発可 能とするとともに、リアルタイム性の保証を容易とする、「並列・分散リアルタイムOS」および「並列・分散制御ソフトウェア開発支援環境」を開発することである。 平成25年度は、「並列・分散リアルタイムOS」については、前年度に引き続き分散共有メモリ及びマルチコア対応OSの設計及び実装実験を行った。具体的には、分散共有メモリにおいて効率よく一貫性を保証する手法を提案し、その設計及び実装実験を行い、成果を国際会議EmbeddedCom 2013にて発表した。マルチコア対応並列OSについては、他CPUコア上のタスクを対象としたCPU間遠隔システムコールの設計および実装実験を行い、基本動作を確認した。さらに、前年度提案したOSのスケジューリングアルゴリズムのカスタマイズ手法の成果をまとめ、国際会議ICESS 2013にて発表した。 「並列・分散制御ソフトウェア開発支援環境」については、モデル変換ツールの機能拡張の検討および設計、リアルタイム性検証ツールの設計および実装実験、スケジューリング方式の検討を行った。具体的には、モデル変換ツールを拡張し、状態遷移をともなうモデルを扱うための機能を追加する検討を行った。また、前年度提案したリアルタイム性検証手法を拡張し、マルチコア上で動作するタスクを対象にデータの整合性検証が行えるようにした。また、RMZLを拡張したスケジューリング方式を提案し、国際会議IES 2013および論文誌International Journal of Engineering Innovation & Researchにて発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究実施計画では、前年度の成果をもとに詳細設計および実装を進めることとしていたが、以下のような内容を実施した。 「並列・分散リアルタイムOS」については、分散共有メモリの設計、実装実験を進め、その成果を国際会議で発表することができた。マルチコア対応並列OSについては、CPU間遠隔システムコールの設計および実装実験を行い、基本動作を確認することができた。以上については順調に研究が進んでいる。同期機能(相互排除方式)の実装については若干遅れ気味ではあるが、計画を見直すほどではない。 「並列・分散制御ソフトウェア開発支援環境」については、モデル変換ツールの機能拡張を進めるとともに、マルチコア上のデータの整合性検証については、当初の予定より進めて実装実験まで行うことができた。スケジューリング方式についても、RMZLを拡張したスケジューリング方式について国際会議および論文誌に発表することができ、順調に研究が進んでいる。 以上のように、若干遅れ気味の項目があるものの、ほとんどの項目は順調あるいは予定以上に進めることができており、全体としてはほぼ順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの2年間の成果をもとに設計・実装を進め、「並列・分散リアルタイムOS」および「並列・分散制御ソフトウェア開発支援環境」を統合化し、それらの評価を行って、今年度で本研究を完了する。具体的には、分散OSとマルチコア対応並列OSを統合化し、「並列・分散リアルタイムOS」を完成させる。また、モデル変換ツールと、データの整合性検証ツールを連携動作可能とし、統合化を図る。また、提案したスケジューリング方式についてシミュレーション評価を行う。 研究体制については、研究代表者と研究分担者のほか、体制をやや強化し、大学院生と学部4年生合わせて9名が研究に従事する計画である。また、企業の研究協力者によるレビューを実施しながら、実用性の高い技術開発を行う予定である。 そして、本研究の成果をまとめて学会発表や論文投稿を行うことを計画している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究会発表のための国内旅費を計画していたが、研究会での発表はより詳細な評価を行った後に行うこととし、今年度は東京で開催された全国大会で発表を行ったため。 研究会発表のための国内旅費として使用することを計画している。
|