2012 Fiscal Year Research-status Report
パワーマネジメント・セキュリティのためのゲーム機向けミドルウエアの構築
Project/Area Number |
24500047
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中島 達夫 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10251977)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | オペレーティングシステム / パワーマネジメント / ケーススタディ / ヒューマンファクター |
Research Abstract |
計算機が使用する電力使用量を削減することは環境問題を解決するための1つの有力なアプローチである.過去にプロセッサに供給する電流や電圧を制御することで消費電力を削減する多くの手法が提案されてきたが,プロセッサが使用する電力量は必ずしも全体から見た場合には大きなものとは言えず,プロセッサ資源だけを考慮することは必ずしも得策でない. 平成24年度は,以上の問題を解決するため,以下の2つの観点から研究をおこなった. 1つ目の観点は,Android携帯端末を利用する場合にユーザの行動を予測して,ディスプレイデバイスの輝度を調整する手法である.この方式では,ユーザが過去に何を入力したかの情報を用いて,しばらくユーザがディスプレイをいつ見るかを予測する.予測により,すぐにディスプレイを閲覧する可能性が低いことが明らかな場合は,ディスプレイの輝度を低下させることで消費電力を減少させる.本提案手法により20%程度の消費電力を低下することが可能であることを示した.しかし,現状の提案手法では,予測の手法が単純であり,複雑なアプリケーションプログラムの電力制御をおこなうためには,より高度な振る舞いの予測が必要となる.そのために,平成25年度以降は,リアルタイム処理技術を利用した手法の検討をおこなう. 2つ目の観点は,オペレーティングシステム自体が通常管理するCPU, メモリ,デバイス等のハードウエアリソースだけではなく,オペレーティングシステムが動作する環境全体を含めて使用するリソース量を削減するための手法の提案である.平成24年度は,経済的インセンティブを利用することで,各システムのリソース使用量を削減する手法を提案し,国際会議へ論文を投稿した.平成25年度は,提案する手法を実際に構築して有効性の検証をおこなう.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,最終的な目標を達成するための第一歩として,2つの研究課題に関して取り組みをおこなった. 1つ目は,ユーザの行動の予測を利用して消費電力の削減をおこなう手法である.本課題では,Android端末のシステムを改変し,提案する手法が有効であるかを確認するために実際にプロトタイプシステムの構築をおこなった.また,作成したプロトタイプシステムを利用して評価をおこなった結果,十分に電力削減をおこなうことが可能であることが示され,研究を進める上ではじめに設定した方針が正しいことが実証された.この成果は,平成25年度以降の研究を進める上で,非常に有益な情報を提供している. 2つ目の研究課題は,システム全体が管理するリソースをシステムを利用する環境も含めて管理するための手法に関する研究である.本課題では,ユーザの振る舞いをコントロールするためのデザイン手法を提案し,その手法を利用してリソース削減をおこなうためのシステムの提案をおこなった.平成24年度は,3通の国際会議への論文を投稿し,2通は平成24年度に発表をおこない,1通は平成25年度に発表をおこなう予定である. 以上の成果により,平成24年度の研究の目的に関しては十分に達成したと考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降は,平成24年度の成果をふまえ,以下の2つの研究に取り組む予定である. 1つ目の課題は,アプリケーションの振る舞いの予測可能性を向上するためにリアルタイム処理の手法を利用することである.システムがどの程度の電力を使用するかを予測するためには,アプリケーションがどのように振る舞うかを予測する必要がある.リアルタイム処理技術は,複雑なシステムの振る舞いを予測可能とする可能性を提供する.特に,今後は,複数のOSを同時に利用する複雑な環境が想定されるが,そのような環境でもアプリケーションプログラムの振る舞いが予測可能となるようなスケジューリング手法に関する考察をおこない,実際にプロトタイプシステムを構築することにより有効性を実証する. また,2つ目の課題では,平成24年度に提案した環境全体のリソースを削減する手法をのプロトタイプシステムを実際に実装することにより,提案手法の有効性の実証をおこなう.特に,経済的インセンティブの利用法やユーザのリソースを節約するための動機を高めることを可能とする手法に関して、新たな提案をおこなう.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,平成24年度の研究成果の報告とシステムの開発を進めることを大きな目標としている.平成24年度に開発をおこなったケーススタディは著名な国際会議のポスター論文として採録されている,今後の研究を促進するために,多くの類似の研究を進めている研究者との議論は必要不可欠である.そのため,会議に出席するための費用として研究費を利用する予定である.また,システム開発を進めるためには,実際に評価するためのプログラムを開発する必要がある.そのため,必要なプログラムを作成するための経費を人件費として利用する予定である.
|