2012 Fiscal Year Research-status Report
クラウドソフトウェアのための関心事分離に基づくプロダクトライン構築方式
Project/Area Number |
24500049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
野呂 昌満 南山大学, 情報理工学部, 教授 (40189452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢田 篤史 南山大学, 情報理工学部, 教授 (40273841)
張 漢明 南山大学, 情報理工学部, 准教授 (90329756)
加藤 大地 南山大学, 情報理工学部, 助教 (80631861)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ソフトウェアアーキテクチャ / アスペクト指向 / プロダクトライン / クラウド / SOA / モデル検査 |
Research Abstract |
クラウドやSOAに基づくソフトウェア構築方法論,ソフトウェアアーキテクチャ設計,アーキテクチャ設計知識管理,ソフトウェア可変性解析などの技術について調査を行い,研究課題,(a) クラウド関心事の分離と記述,(b) 追跡性管理とコア資産化,(c) アーキテクチャの正当性検証について,以下の研究成果を得た. (a) クラウド関心事の分離と記述の研究では,SOAミドルウェアの差異に着目して,アプリケーションプラットフォームのプロダクトラインを構築して,アーキテクチャ記述方式の基本的なアイデアを確立した.コア資産としてのプロダクトラインアーキテクチャは,非機能要求を関心事として抽出し分離して,アスペクト指向アーキテクチャとして定義した.非機能要求をアスペクトと対応させて可変性をフィーチャモデルを用いて記述した.SOAアプリケーションプラットフォームのためのフレームワークと,そのホットスポットに適用する再利用コンポーネントをアーキテクチャに対するアダプタとして定義した. (b) 追跡性管理とコア資産化の研究では,アスペクト指向ソフトウェアの設計支援を目的として,コンポーネントとコネクタで表されたアスペクト指向アーキテクチャとオブジェクト指向によってアスペクトの実現方法を示した設計の関係を整理して,カタログとしてまとめた.アーキテクチャデザインマップを拡張することにより,要求から実現への追跡性を確保し,アスペクト指向アーキテクチャから設計への自動化の基礎を得た. (c) アーキテクチャの正当性検証の研究では,並行・分散システムの振舞い検証を行うためのモデル検査に関する先行研究や支援ツールの調査を行った.(a)における事例を対象として,アーキテクチャ記述から振舞いに関する記述をプロセス代数CSPに変換してモデル検査器FDRを用いて検証を行い,振舞い検証の自動化の基本的なアイデアを得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,我々のこれまでの研究成果であるネットワークやユビキタスシステムを題材として,クラウド関心事の分離と部品化,追跡性管理,モデル検査手法について基本的なアイデアを確立することを目標とした. (a) クラウド関心事の分離と記述の研究では,仕様から実現までのシームレスな開発を支援するためのアーキテクチャ記述方式について,仕様モデル,アーキテクチャ設計,フレームワークによる実現および追跡性に関する基本的なアイデアを提示した.仕様モデルとして,非機能要求をアスペクトに対応させてフィーチャモデルで記述することにより,仕様とアーキテクチャの追跡性を確保した.また,個々のミドルウェアを適合させるための再利用コンポーネント群を整備した.これらの基本的なアイデアをATM監視システムの事例に適用してその妥当性を確認した. (b) 追跡性管理とコア資産化の研究では,横断的関心事を分離するための技術としてアスペクト指向と,モデル間の追跡性を確保する手段としてのモデル駆動開発を融合することにより,要求から実現への追跡性を確保した.ATM監視システムの事例に適用してその有効性を確認した.また,モデル変換のための記述ルールモデルと変換ルールを定義して,設計の自動化に関する基本的なアイデアを確認した. (c) アーキテクチャの正当性検証の研究では,(a)での事例分析調査と連携して,提案したアスペクト指向ソフトウェアアーキテクチャ記述をモデル検査を用いて検証した.事例検証を行うことにより,アーキテクチャ技術の妥当性とCSPモデルを用いてアーキテクチャの振舞い検証にCSPモデルが有効であることを確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度実施した先行研究調査,技術動向調査と事例検証の結果をより詳細に検討することで,支援技術のツール化に向けて,クラウドソフトウェアのためのプロダクトライン構築方法論を具体化する. (a) クラウド関心事の分離と記述の研究では,クラウドソフトウェアのアスペクト指向モジュール化,アーキテクチャ設計・再構築プロセスについて,可変性分析の観点からその特徴をより詳細に分析する.クラウド関心事やそれらの可変性・不変性の表現が可能となるよう,アスペクト指向ソフトウェアアーキテクチャスタイルを洗練する.アーキテクチャ記法としてはUMLに基づき,クラウドに特化した要素や制約をプロファイルとして定義することで,エディタやソースコード自動生成系などの支援ツールの実装を容易にすることを目指す. (b) 追跡性管理とコア資産化の研究では,(a)で検討するアーキテクチャ記述方式に対し,要求仕様モデルとの意味的関連を構造的に管理するための方式について検討する.要求仕様に相当するアスペクトをサービスおよび位置透過性のアスペクトと関連付けるためのアスペクト間記述をメタモデルとして構築し,このメタモデルにしたがう追跡性管理支援を実現する.このメタモデルは,アーキテクチャ設計マップに基づいて設計する.結果としてアーキテクチャ設計判断に関する情報もコア資産の一部としてプロダクトラインにおいて管理することを可能にする. (c) アーキテクチャの正当性検証の研究では,(a)および(b)と連携しながら,クラウドソフトウェアの実事例に対して,部品とアーキテクチャの振舞いを検証する.前年度に検討したモデル検査手法を試験的に適用し実事例による評価を行う.この評価では,アスペクト指向による部品独立性の向上の効果について確認すると同時に,要求仕様との追跡性の確保が検証に与える影響についての確認も行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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