2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500050
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
丸山 勝久 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (30330012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 隆行 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (90532903)
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Keywords | プログラム変更支援 / ソフトウェア保守と進化 / ソフトウェア開発環境 / プログラム理解 / リバースエンジニアリング / ソフトウェアリエンジニアリング |
Research Abstract |
本研究では、開発者や保守者が過去に行ったプログラムのソースコードの編集操作をすべて記録し、その編集操作履歴から将来のソフトウェア保守に役立つ情報を抽出する手法を確立する。平成25年度は、主に3つの研究を実施した。 1. 複数の開発者が行った編集操作を細粒度で合成できるように、編集操作の依存関係を再検討した。具体的には、従来から提案している編集操作グラフ(OpG)の節点の粒度をクラスメンバから、編集操作およびそれらの集合に変更した。これにより、開発者の知りたい情報や開発状況に対して、より柔軟な過去の編集操作の追跡性が実現できた。 2. 現在記録している編集操作は、開発者が過去のプログラム変更を理解するためには細かすぎる。そこで、編集操作からソースコードの変化を検出した上で、それらの変化を集約するアルゴリズムを提案した。これにより、開発者は断片化されたコード変更ではなく、より抽象度の高いプログラム変更が把握しやすくなる。 3. プログラム変更をナビゲートするツール群の構築を目指して、リファクタリング、デバッグ支援、ソーシャルコーディングにおける編集操作の活用を検討した。この結果、過去の編集操作をリファクタリング機会の検出やバグ検出に応用できることを確認した。また、編集操作の類似性などを検出し、GitHUBのようなソーシャルコーディングサイトで提供するサービスの可能性も見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の予定は、編集操作を活用したプログラム変更支援ツールの構築やそのようなツールの開発を支援するプラットフォームの構築である。プログラム変更支援ツールとしては、研究実績の概要の2.で示した、プログラム変更の理解支援ツールにおけるアルゴリズムが完成しており、国際会議(APSEC2013)で発表した。現在、このアルゴリズムのツールへの組み込みを実施している。また、2012年に国際会議で発表した編集操作グラフ(OpG)を活用した編集操作のスライシング手法に関してもツールが完成し、被験者実験の段階に進んでいる。さらに、研究分担者、研究連携者、国内外の研究者との議論を活発に行うことで、編集操作を活用する新たな場面を見いだすことができた。たとえば、情報処理学会ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2013において、ソーシャルソフトウェア工学とその支援ツールワークショップを企画し、ソーシャルコーディングにおける活用を議論した。平成26年2月には、ブリティッシュコロンビア大学を訪問し、編集履歴に関する研究討論会を行った。平成25年度は外部発表の機会がやや少なかった反面、研究討論会などの企画に力を入れたことで、今後の研究活動に有益な知見が得られた。以上より、研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、編集操作を活用したプログラム変更支援ツールの構築とそのようなツールの開発を支援するツールプラットフォームの構築に取り組む。これらの作業においては、特に、実際のソフトウェア開発により近い環境、つまり複数の開発者が同一のプロジェクトにおいてソースコードを編集している状況に対応させることを強く意識する。また、過去の編集操作を活用したリファクタリング機会の検出やリファクタリングにおけるユーザビリティの向上という新たな研究領域への展開も予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主な理由は2つある.国際会議参加の際の渡航費用が当初予定より大幅に削減されたためと、論文掲載料の支払いが次年度にずれこんだためである。 研究成果の公開をさらに進めるために、国際会議と国内会議への参加回数を増やす。また、海外研究者との研究討論会を企画し、その渡航費用で使用する。
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