2013 Fiscal Year Research-status Report
並列言語CAFプログラム向け通信隠蔽技術の研究開発
Project/Area Number |
24500068
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
南里 豪志 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 准教授 (70284578)
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Keywords | CAF / 非ブロッキング集団通信 / 高性能計算 / 通信隠蔽 / PETSc |
Research Abstract |
本年度は、非ブロッキング集団通信を用いた通信隠蔽技術を適用したベンチマークプログラムの候補として、数値計算ライブラリ PETScを調査した。PETScには、線形方程式の反復解法において非ブロッキング集団通信を用いた通信隠蔽を行うアルゴリズムを採用したものが 3個実装されており、それらを呼び出すテストプログラムも用意されている。そこで、これらのプログラムの基本性能を調査した。なお、前年度に制定された MPI3規格の非ブロッキング集団通信について、本年度、各MPIライブラリへの実装が進んだ。そこで、性能調査にあたり、まず既存の MPIライブラリ Open MPI、および MVAPICH2での実装を用いて、通信隠蔽の効果を測定した。しかし、集団通信内部の通信を個別に管理するオーバヘッドが問題となり、十分な通信隠蔽効果を確認できなかった。一方、我々が提案している低オーバヘッド実装は、集団通信毎にスケジューリングを行うため、オーバヘッドが低く、いくつかの実験で通信隠蔽の効果を確認することができた。ただし、測定結果のばらつきが非常に大きいため、本年度行った実験だけでは、確実に通信隠蔽の効果が得られたかどうかを実証できない。今後、実験の回数を増やすとともに測定結果のばらつきの原因を追求し、通信隠蔽効果の実証を急ぐ。その後、本ベンチマークプログラムを CAFに移植し、CAFにおける通信隠蔽の効果を確認する。 また、Open MPI、MVAPICH2における非ブロッキング集団通信の実装と、我々が提案する低オーバヘッドの実装の比較について、集団通信と計算ループを並行して実行する簡単なプログラムを用いた基礎評価も併せて行った。その結果、我々が提案する方法については概ね優位であるが、複数の集団通信が同時に進行する場合に性能が著しく低下することがわかった。これらの知見を元に、実装の自動選択に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
通信隠蔽の効果を確認するためのベンチマークプログラムに関しては、そもそも非ブロッキング集団通信の利用事例が少なかったため、プログラムの選定に難航していたが、調査の結果、数値計算ライブラリ PETScでの実装を応用可能であることを確認できた。このプログラムは、GMRESや CG等の標準的な反復解法のアルゴリズムをベースとしており、CAF化が比較的容易であると考えられる。 また、非ブロッキング集団通信の実装手段として、Open MPIや MVAPICH2で採用されている手法と、我々が提案している低オーバヘッドな手法を比較し、通信の隠蔽効果について知見を得ることができた。これにもとづいて、状況に応じた実装手段の選択が可能になると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果に基づいて、PETScにおける通信隠蔽アルゴリズムを用いたベンチマークプログラムを CAFで作成し、通信隠蔽効果を確認する。また、本年度得られた知見に基づいて、実行時の状況に応じた非ブロッキング集団通信の実装手段選択手法を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
発表を予定していた国際会議に投稿したものの、不採択であったため、想定していた旅費が不要となった。 不採択となった論文を修正して再度国際会議に投稿し、発表するための旅費として使用する。
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Research Products
(6 results)