2013 Fiscal Year Research-status Report
無線P2Pネットワークの可視化とその応用に関する研究
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24500073
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
小山 明夫 山形大学, 理工学研究科, 教授 (60315679)
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Keywords | 可視化システム / 無線P2Pネットワーク / アドホックネットワーク / 無線メッシュネットワーク / プロトコル / 同期方式 |
Research Abstract |
平成25年度は,アドホックネットワークのノード情報やリンク情報を可視化する手法の考案と実装,APIの設計と実装,ルーティングプロトコルの可視化,無線メッシュネットワーク用可視化システムの設計および実装を行った. この可視化システムの利用者として無線P2Pネットワークでのプロトコル開発者や応用システムの開発者およびネットワーク管理者を想定している.これらの利用者に有益となる情報を提供することが重要となる.本年度は,提供する情報としてノードのバッテリー残量やGPSを用いた屋外での位置情報およびリンクの負荷やリンクの安定度の可視化を行った. また,これと並行して、APIの設計と実装を行った.開発した可視化システムを応用プログラムや各種プロトコルから利用するためには,利用しやすいAPIを提供する必要がある.APIとは,応用プログラムを開発するときに利用できる命令や関数の集合である.ここでは応用プログラムや各種プロトコルを想定し,そこで必要となる可能性のある関数を数多く提供できるようにAPIの設計と実装を行った. 開発したAPIを利用してDSRやAODVなどのルーティングプロトコルの実装を行い,APIを利用した場合としない場合の開発効率の違いなどについて評価を行った.その結果,開発効率を大幅に改善できることを確認した. また,アドホックネットワークの可視化で得られた知見を基に,無線メッシュネットワークの可視化システムの設計と実装を行った.このシステムは,アドホックネットワークの可視化システムと同様に,ネットワークトポロジーの可視化やパケットの流れを可視化できるシステムである.さらに,効率的な可視化情報収集手法を2つ(プロアクティブ型とリアクティブ型)考案し,それぞれの手法のログ収集の正確性やログ収集時間に関して性能を比較して評価した.その結果,プロアクティブ型の優位性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも述べたように,平成25年度は,アドホックネットワークのノード情報やリンク情報を可視化する手法の考案と実装,APIの設計と実装,ルーティングプロトコルの可視化,無線メッシュネットワーク用可視化システムの設計と実装を行い有益な成果を得た.これは,当初予定していた計画通りに研究が進んだことになる.これにより,目標であるアドホックネットワーク用可視化システムを用いたプロトコルの可視化および無線メッシュメッシュネットワークの可視化システムの開発を完了したことになる. 以上の理由により,現在までおおむね順調に研究が進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の平成26年度は,アドホックネットワークの可視化システムでは,室内での位置推定および応用システムの可視化の実装を行う.また,無線メッシュネットワークの可視化システムでは,Internet of Things(IoT)の研究と関連する「モノ」の情報を可視化するシステムの実装を行う.さらに,今年度は最終年度なので,3年間で構築したシステムの総合評価を行う. 室内での可視化の場合,GPSを用いることができないため別な方法で位置推定を行う必要がある.今年度は最初に各端末間の電波強度や電波分布を利用した位置推定手法を考案し実装する.応用システムの可視化の実装では,平成25年度に開発したAPIを用いて実際に無線ネットワークを用いた応用ソフトウェアのパケットの流れやネットワークトポロジーの変化を観測できるシステムの開発を行う.応用システムの開発者はこのシステムを利用することにより,自身が開発したシステムの挙動を視覚的に確認することができる.また,開発した応用システムにバグなどがあった場合にすぐに発見することが可能となる. これと並行してもう一つの無線P2Pネットワークである無線メッシュネットワークを用いた「モノ」の情報の可視化システムの開発を行う.「モノ」の情報を得るために,今年度購入するアクティブタグを「モノ」に装着し,タグ情報を基にどのような「モノ」がネットワークに接続されているかが分かるようになる. 最後に本研究の総まとめとして総合評価を行う.総合評価では,平成24年度から平成26年度まで開発したシステムをいろんな角度から評価する.また,実用化に向けての方策を考える計画である. なお,研究成果の公表では,国内学会はもとより国際会議でも発表を行うことにより研究成果を広く世界に公開していく予定である.さらには,国際ジャーナルにも投稿し,学術的にも認められる研究を目指していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
使用予定であった謝金が不要になったため残金として残った.平成26年度は、この残金を実験で使用するタブレットPCの購入に使用する計画である. 今年度の研究費は総額で繰り越し分を入れて約125万円である.この使用内訳として今後の研究の推進方策で述べたアクティブタグおよびレシーバの購入費として20万円,実験で用いるタブレットPCの購入費として20万円,国外及び国内旅費として60万円,学会参加費として12万円,残りを消耗品で使用する計画である.
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