2013 Fiscal Year Research-status Report
スマートシティにおけるサービス競合問題に関する研究
Project/Area Number |
24500079
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 匡秀 神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (30324859)
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Keywords | サービス競合 / スマートシティ / スマートホーム / センサ情報システム / ビッグデータ / アルゴリズム / 省エネルギー |
Research Abstract |
スマートシティは,様々な社会インフラをICT技術によって統合することで,効率的で付加価値の高い都市を実現する構想である.将来的にスマートシティ上に多くのサービスが展開されると,複数のサービスが互いに衝突・干渉し,意図しない不具合が発生するおそれがある.この問題はサービス競合と呼ばれ,サービスの品質や安全性を低下させる要因となる.本研究では,スマートシティにおけるサービス競合問題を形式的に捉え,サービス競合を検出・解消する体系的な枠組みを提案する. 具体的には期間内に次の5つを達成することを目指す:(1) スマートシティおよびサービスのモデル化手法の検討,(2)スマートシティにおけるサービス競合問題の定式化,(3)サービス競合検出手法の開発,(4)サービス競合解消方式の開発,(5) サービス競合管理システムの開発と評価. 平成25年度は,上記(1)~(5)のうち,(3)および(4)に取り組んだ.特に,異なるサービスが環境を介して,間接的に衝突する「環境競合」について,そのモデル化,検出・解消手法の検討を行った.直感的には,サービスS1,S2の環境に対するインパクトI1,I2と,ユーザの各サービスに対する要求R1,R2とを考慮し,「S1とS2の実行によって与えられるインパクトI1+I2が,R1またはR2を満たさなくしてしまう」という条件で競合を検出する.検出された競合を,サービスやユーザの優先順位によって解消する方法も検討した.この成果を海外ジャーナルJournal of Computer Networksに発表した. また,スマートシティサービスは,都市内のスマートホームやインフラ等から収集したビッグデータ(センサやシステムログ等)に基づいて実現される.本研究を契機に,ビッグデータを効率的に収集・活用する仕組みや,データに基づいたサービスを組み立てる枠組みの開発も行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画当初は,前年度に考察したいくつかの典型的なスマートシティ/スマートハウスサービスを対象として,上記の(3)サービス競合検出手法の開発,および,(4)サービス競合解消方式の開発の達成を目指して研究を行った.これらについては,国際会議やジャーナル論文に成果発表を行い,当初の計画通り進められた. これに加えて本年度は,ビッグデータを活用したスマートシティサービスに関する派生的な成果を得ることができた.具体的には,以下のものが含まれる:(a)都市内の住宅等から得られる大量のデータを用途にあった形式(ビュー)で提供するサービス,(b) 都市内のエネルギーを個人に適応した形で可視化する枠組み,(c) 都市内の住宅ログを利用して過去の状況を含めたコンテキストを取得する仕組み,(d) 都市内に分散した様々な情報を活用して,コンテキストアウェアサービスを組み立てる方法. したがって,当初の計画以上に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
提案手法に基づいてサービス競合を検出・解消するシステムを実装する.実用レベルのスマートシティサービスでは,サービス利用者数やサービスの種類が増えるにつれ,大規模なストレージと計算能力が必要となる.これらのサービスの競合検出・解消を,許容可能な応答時間内に継続的に行うためには,システムのスケーラビリティの確保が必須である.この問題に対して,購入予定のサーバ群を用いて計算機クラスタを構成し,Hadoop/MapReduce等の分散並列計算技術や,Key Value Store(KVS)といった軽量データベース技術を用いて対応することを考えている. また,実際にスマートシティサービスをいくつか試作し,ユーザ参加による被験者実験を通して,実装したシステムの有効性評価を行うことも計画している.具体的にはスマートシティやサービスへの要望や期待について,一般住民を対象としたアンケートや取材,ヒアリングを行う可能性がある. さらに,平成24年度の派生成果であるコンテキストアウェアサービスの開発フレームワークを用いて,エンドユーザである住人自らがスマートシティサービスを作成する実験も考えている.これらのエンドユーザによるサービス開発とサービス競合の関連についても考察してみたい. 研究の最終年度の総まとめとして,国内外で積極的な成果発表を行うことを計画している.
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[Presentation] A Feature Model of Framework Applications2013
Author(s)
Izuru Kume, Masahide Nakamura, Naoya Nitta, and Etsuya Shibayama
Organizer
14th ACIS International Conference on Software Engineering, Artificial Intelligence, Networking and Parallel/Distributed Computing (SNPD2013)
Place of Presentation
Honolulu (米国)
Year and Date
20130701-20130703
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