2012 Fiscal Year Research-status Report
大規模災害に対するレジリエンスを強化するためのネットワーク機能自律回復技術
Project/Area Number |
24500091
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
高野 知佐 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (60509058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
會田 雅樹 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (60404935)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自律分散制御 / アドホックネットワーク / アシュアランス / クラスタリング |
Research Abstract |
本研究では,大災害時の壊滅状況化でも残存機器のみでネットワーク機能を迅速に自律回復するレジリエンス機構を実現することが目的であり,平成24年度において,以下の2つの課題について,基本方式検討,シミュレーションによる効果確認を行った. 課題(1) 大災害直後の混沌とした状態からのネットワーク秩序回復技術 災害時において,円滑な災害復旧活動を支援するためにはネットワーク機能がいち早く回復することが必要である.この課題に対し,アドホックネットワークを主体としたネットワークが有用であり,特にネットワークの負荷分散を目的としたクラスタ形成技術に焦点を当てる.本研究で提案した自律分散構造形成技術により,他の自律分散クラスタ方式よりも時定数で30倍以上高速な収束速度を実現することが分かった.またノード群の移動に伴うネットワーク同士の離合集散などの大規模なネットワーク構造の変化に対して,漸近安定性を保証する技術を提案し,長時間安定した構造を作りだすことができることを確認した. 課題(2) 高度なネットワーク機能のレジリエンスを確保する技術 提案する自律分散構造形成技術によって形成されたクラスタ上でデータのルーティング(階層ルーティングの一種であるHi-TORAを利用)を行い,その時の消費電力量,及びデータの情報収集能力について評価した.その結果,他の自律分散クラスタリングと比べて,ネットワークの生存時間,およびSink ノードが受信した総データ量の点において優位であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題(1) 大災害直後の混沌とした状態からのネットワーク秩序回復技術 本課題は,ネットワーク機能の迅速な回復を支援するためのメタプロトコルの技術研究に位置づけられ,研究実績で述べたように,迅速なネットワーク構造の生成およびネットワーク構造の安定化の2点において概ね成果を得ている. 課題(2) 高度なネットワーク機能のレジリエンスを確保する技術 ネットワーク機能の具体的な評価尺度(ネットワーク機能回復速度,可到達性改善効果,ネットワーク寿命) に関して評価を行い,研究実績で述べたように提案方式の有用性を示すことができた. また,上記課題それぞれについて成果の一部を電子情報通信学会の研究会および論文投稿,国際会議において発表しており,概ね計画通りに進捗していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
課題(1) 大災害直後の混沌とした状態からのネットワーク秩序回復技術 前年度実施した課題(1) におけるシミュレーション実験結果をふまえてネットワーク秩序の回復技術をモバイル端末に実装し,実機での実証実験を行う.具体的には,アドホックネットワークの自律分散的クラスタリング技術による階層構造形成に関する実験を行い,提案するネットワーク秩序回復技術における効果を明らかにする. 課題(2) 高度なネットワーク機能のレジリエンスを確保する技術 有線端末(サーバ機能),無線端末(アドホックネットワーク) を含む複合的なネットワーク環境において,実機による実験を行い,より高度なネットワーク機能回復技術の可能性を探ることで,ネットワーク機能のレジリエンスを確保する技術を確立する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度は,学会発表時における旅費において残額が発生した.次年度は,初年度の検討が順調に進んでいることから当初の予定よりも外部発表の件数を上げ,初年度の残額と次年度の研究費を合わせて利用する予定である.
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Research Products
(10 results)