2013 Fiscal Year Research-status Report
大規模災害に対するレジリエンスを強化するためのネットワーク機能自律回復技術
Project/Area Number |
24500091
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
高野 知佐 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (60509058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
會田 雅樹 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (60404935)
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Keywords | 自律分散制御 / アドホックネットワーク / アシュアランス |
Research Abstract |
本研究では,大災害時の壊滅状況化でも残存機器のみでネットワーク機能を迅速に自律回復するレジリエンス機構を実現することが目的である. 大規模な災害が発生した場合に,ネットワークインフラに依存しないアドホックネットワーク (AN) は,災害時であってもネットワークを構築して通信を実現できる可能性がある.一般的に,AN を構成するノードは電源を持たず,バッテリーで駆動するノートパソコンやスマートフォンなどの端末である.ノードの消費電力を抑えなければ,AN を構成する多くのノードがバッテリー切れになってしまい,その結果として非常に疎なネットワーク構造となる.これは,ネットワーク内に存在する端末の通信到達性の低下につながってしまう. この解決策の1 つとして,端末の通信可能距離を最小限に抑えることが考えられるが,通信可能距離の抑制は,AN 内に存在する端末の通信到達性の低下につながる.全ての端末が情報を送受信する環境を作り出すことと,可能な限りネットワークの消費電力を抑えることはトレード・オフの関係にあるが,「通信到達性の確保」と「ネットワークの長寿命化」の両立を実現することは,アドホックネットワークにおける重要な課題である. 本年度はこの問題を解決するために,端末数を考慮した通信到達性の確保と端末の低消費電力を両立する通信半径の導出方法を示し,実際の通信環境を考慮した上で,通信半径に対しての電力消費量とGoodput の関係を調査した.その結果,提案方式から通信半径を見積もると,省電力化と高いGoodput を両立することが可能であると分かった.また,AN における電力消費抑制効果を目的とした自律分散クラスタリングにおいて,階層化ルーティングを考慮した評価を行い,スループットおよび消費電力において非常に有効であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
災害時の壊滅状態にあるネットワーク環境において非常に重要な「通信到達性の確保」と「ネットワークの長寿命化」の両立を実現した提案方式は,本来の目的の1つ(高度なネットワーク機能のレジリエンスを確保する技術)に沿った課題解決のためのアプローチであり,その有効性を示すことができた. また,自律分散クラスタリング方式の提案においても,消費電力抑制,ネットワークの長寿命化,スループット(グッドプット)の向上を実現することを示した点で研究目的に沿っており,大きな成果を得られた. また,上記課題それぞれについて成果の一部を電子情報通信学会の研究会,国際会議において発表しており,概ね計画通りに進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
提案方式を実環境上で利用するには様々な課題が残っている.より複雑なネットワークモデル端末の配置(ランダム配置,非対称ネットワーク)や位置情報を利用したルーティングプロトコルを導入した場合などの一般的なネットワークモデルを考慮し,より現実的な消費電力モデルを用いて評価を行う必要がある.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた国際会議の旅費を大学の資金(海外特定研究費)でまかなえたため,差額が生じた 昨年度から続く研究の成果が良好であり,本年度は外部発表を多く予定している.
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Research Products
(5 results)