2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500092
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
双紙 正和 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (00293142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 充子 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (10313701)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | セキュリティ / 認証 / ハッシュ関数 / プロトコル / ネットワーク |
Research Abstract |
ハッシュ関数は,一方向性を持ち,効率よく計算できる,暗号プリミティブである.特に,認証プロトコルにおいては,初期値にハッシュ関数を繰り返し適用した,ハッシュ連鎖と呼ばれる技術が重要な要素技術となっている.本研究は,ハッシュ連鎖の新しい構成法について研究するものである,内容的には,本研究は,研究課題1(ハッシュ連鎖の柔軟で効率の良い認証法)と,研究課題2(ハッシュ連鎖による認証法の応用)から構成される.研究課題1は,(i) 提案ハッシュ連鎖構成法の形式化・拡張・応用の研究(平成24年度),(ii) 提案ハッシュ連鎖のセキュリティおよび性能解析(平成25年度),の二つのフェーズで研究が実施され,ハッシュ連鎖の新しい構成法を中心に研究開発が実施される.特に平成24年度は,以下のようなハッシュ連鎖構成法について研究した.すなわち,通常のハッシュ連鎖を用いた認証法においては,一方向のハッシュ連鎖が1個だけ用意されるに過ぎない.一方,本研究で提案するハッシュ連鎖の構成法においては,複数の方向および開始地点を複数にしたハッシュ連鎖が用意される.これによって,柔軟で効率の良い認証を実現できることを示した.ハッシュ連鎖の柔軟で効率的な構成は,今までに全く類を見ない独創的なものであり,ハッシュ連鎖の構成法の新たな地平を開くものである.したがって,それ自身で基礎的な分野における重要な学術的貢献をなすと考えられる.さらに,提案するハッシュ連鎖の構成法は,応用上の観点からも極めて重要である.その例として,提案ハッシュ連鎖構成法により,時限的キーエスクロー,センサーネットワークの柔軟な認証法,ハッシュ連鎖の効率的な計算等が実現することを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度においては,研究課題の1 (i),すなわち,提案ハッシュ連鎖構成法の形式化・拡張・応用について,研究開発を行った.提案ハッシュ連鎖の形式化については,機能と性能のトレードオフについてはまだ完了とまではいえないが,ほぼ予定通り実施できた.さらに,平成24年度については,特に,拡張・応用面で進展があった.たとえば,提案する高度なハッシュ連鎖を用意することで,鍵更新プロトコルにおける時限つきのキーエスクロー(政府や裁判所が認めた場合,鍵を強制的に公開する)や,センサーネットワークにおける効率の良い認証等を実現できた.その他,提案手法の拡張として,VANET (Vehicular Ad hoc Networks) における柔軟で効率のよい認証法を実現できた.その他,VANETやRFIDにおける署名法についても研究を実施できた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年以降では,研究課題の1 (i),(ii)に該当する提案ハッシュ連鎖のセキュリティおよび性能解析(平成25年度),および,(iii) 研究課題2「ハッシュ連鎖による認証法の応用」(平成25年度)を実施する.まず,研究項目 (ii) であるが,セキュリティおよび性能解析を行うために,Joye らによる解析手法の適用を検討する. Joye らの解析は,彼らが提案した one way cross trees(OWCT) におけるもので,本研究課題で提案する手法に対して有用であるとは限らないが,いずれもハッシュ連鎖の一般化という点では参考になる点があると考えられる.また,ハッシュ連鎖において性能上の問題になるのは,ハッシュ関数を繰り返し適用して計算を行うことによるオーバーヘッドである.センサーネットワークやモバイルネットワーク等,ユビキタス環境において有効であることを確認するために,提案方式の性能評価においては,解析的評価とともにシミュレーションによる評価を実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が303,628円ある.これは,予定より出張回数が少なかったことが大きい.この予算については,前年度(平成24年度)の研究内容を国際会議で発表する際に使用する予定である.
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Research Products
(15 results)