2013 Fiscal Year Research-status Report
位置情報サービスの為の各種検索の高速化に関する研究
Project/Area Number |
24500107
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
大沢 裕 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (50152111)
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Keywords | 地理情報システム / 高度交通システム / 位置情報サービス / アルゴリズム / 空間データベース |
Research Abstract |
位置情報サービスで重要となる課題の内,本年度は(1)道路網上での2点間の距離を高速に算出する方式(SMPV)の提案,(2)道路網距離での旅行計画のための高速アルゴリズムの開発,(3)道路距離でのRkNN検索のための高速アルゴリズムの提案,を中心に研究を進めた. (1)の道路網距離での2点間の距離を,少ないデータ量の下で高速に算出する方式として,SMPV(simple materialized path view)方式を開発した.従来のMPV方式は膨大なデータ量を要していた.この問題を解決するため,道路網を多数のサブグラフに分割し,各サブグラフ内のみでの距離表を作成し,それを保持することによりデータ量を大幅に削減した.大域的な演算は最適優先探索を用いて行う.この方式は,従来の階層的なMPV(HMPV)方式と同等な時間での処理を達成している.このテーマに関しては,現在国際会議と原著論文を執筆中であり,6月中には投稿を完了する. (2)道路網距離での各種旅行計画を高速に実行するため,前年度までに2つの方式を提案した.本年度は,この課題に関して3つのアプローチでの研究を行った.(a)旅行計画アルゴリズムのMTNN(multi-type nearest neighbor)検索への適用,(b)検索により得られた最適路を無視して移動した際に,現在位置からの再探索の高速化,(c)POI密度によらず安定して高速化が達成できる方式の開発.これらの成果については,今年度中に国際会議や原著論文として公開する. (3)逆最近傍検索(RkNN)を道路網上での距離で行う際に,従来方式では膨大な処理時間を必要としていた.この問題に対応するため,(1)で述べたSMPV方式とIERの枠組みを適用して,POI密度によらず高速検索可能なアルゴリズムを実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載の計画では,旅行計画問題の高速化と道路網距離のマテリアライズ化方式の確立を挙げた.これらの各課題に関して,十分に目的を果たす成果が得られた.これらの成果発表は,本年度の成果には間に合わなかったが,現在国際会議と原著論文への発表準備を進めている. 当初計画では,最終年度に予定していた空間ジョイン系の演算の内,逆最近接問題(RkNN検索)の高速アルゴリズムを創案・実装した.従来アルゴリズムではPOIの分布が疎な場合に多大な処理時間を要していたが,本研究で検討・創案したアルゴリズムでは,POIの分布密度によらずほぼ一定の処理時間で検索することができる.研究計画を前倒しして実現できた.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年までに開発した各種アルゴリズムを再検討して,更に検索の高速化と,多様化を実現する方式の開発を行う. (1) 前年度までに2種類の旅行計画方式を創案した.1つは,最適優先探索を用いて,直接道路網上での探索を行う方式であり,他の1つはユークリッド距離での検索結果を道路網距離で検証する枠組み(IER: Incremental Euclidean Restriction)による方式である.しかし,両者の性能は,検索対象のPOIの存在密度に関して相反する性質がある.前者は,POIが密に存在するとき高速であり,後者はPOIが疎に分布するとき高速になる.この両者を組み合わせてPOIの存在密度に依存しない旅行計画方式を創案する. (2) 前年度まで,検索点が与えられる都度その結果を得る検索,すなわちスナップショット検索を扱ってきた.一方,検索点の移動を監視し,その都度最適な結果に更新する検索,連続検索が求められる状況も多い.本年度は,検索点が移動する場合について,過去の検索で得られた中間データを活用することにより,連続検索を高速に行う方式を検討する.具体的には,範囲検索,kNN検索,旅行計画を対象として,連続検索の新しい枠組みを構築する. (3)前年度までに開発した道路網距離のマテリアライズ化方式を各種検索方式に適用する.具体的には,MTNN(Multi-type Nearest Neighbor)検索,各種旅行計画などの多大な処理時間を要する空間ジョイン系の検索に適用する.
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