2015 Fiscal Year Annual Research Report
構造を持つデータの構造情報ダイジェストを利用した類似検索の高速化
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24500111
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
古賀 久志 電気通信大学, 情報システム学研究科, 准教授 (40361836)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グラフ構造 / 類似検索 / ハッシュ法 / 顕著特徴領域 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、グラフを対象とする高速類似検索について中心的に研究した。提案手法では、グラフを各頂点を始点とする有限長パス集合として表現する。さらに、パスを整数に変換して、グラフを整数集合として表す。これによりグラフ間類似度を、整数集合間で類似度計算することで高速に求める。 とくに本研究では、パスから整数への変換関数に注目した。従来手法では、変換関数が疑似乱数であり、パスを変換後の整数はパスの構造情報を完全に捨ててしまう。これに対して、本研究では類似したパスを同一整数に変換する関数を考案した。すなわち、従来手法ではパスが完全一致するかしないかだけを区別するのに対し、提案手法ではパスが類似しているかどうかを区別する。本方式によりグラフ間類似度の粒度を細かくできるため、類似検索の性能向上が期待できる。実際に、人工データと化合物データを用いたデータ分類実験により、提案手法が高速性を失わず、パターン認識精度を向上できることを示した。本研究成果は電子情報通信学会総合大会にて成果発表した。 また、構造ベース画像処理についても引き続き研究を実施した。昨年度までに、画像を顕著特徴マップを用いて前景と背景の2構造に分離することで、構造分離を行わない通常手法よりも類似画像検索性能を改善できることを示していた。今年度は、提案手法と同様に画像を前景と背景に分解する最新手法を対象にして比較実験を実施し、提案手法の方が高い性能を出すことを示した。従来手法では前景類似度と背景類似度を用いるのに対し、提案手法では前景類似度と画像全体の類似度を用いる。提案手法では背景類似度を使用しないため、構造分離の精度に関してロバストであることが性能改善の理由である。この実績が認められ、本研究成果は査読付き国際会議に採録された。
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