2012 Fiscal Year Research-status Report
動画像の階層型圧縮符号化における時空間画質の最適制御に関する研究
Project/Area Number |
24500112
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
吉田 俊之 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50240297)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 動画像符号化 / 階層符号化 / 画質制御 / レート制御 / MOS |
Research Abstract |
平成24年度は,これまで,単層符号化を前提として検討してきた予測MOS(Estimated Mean Opinion Score:EMOS)の予測手法を階層符号化に拡張するため,主として空間方向のEMOSsの予測手法について検討を行なった.一般に,階層符号化の符号化効率については,(1) 上位階層に向けてビットレートを上げた場合,単層符号化に比べて符号化効率が低下する,(2) 上位階層に向けてフレームレートを上げた場合,フレーム予測方法の違いによって最下位層に比べて符号化効率が向上する,という特性を示す.また,(3) 時間方向の階層符号化を併用する場合に,フレームレートの変動に伴うEMOSsの値を予測する必要も生じる.本年度は,(1),(2)および(3)を考慮したEMOSsの高精度予測手法について検討した. まず,本研究ではH.264/SVC符号化器を対象とするため,主観評価実験により,当該符号化器に特化したEMOS予測式における各係数を導出した.また,対象画像を数点のビットレートで階層符号化し,各層,各ピクチャ毎のPSNRを曲線近似することで,上記の(1)〜(3)を満足するEMOSs予測手法を確立した.さらに,得られたEMOSsの予測手法を種々の試験画像に適用し,EMOSsの予測精度の検証を行なった. 以上により,従来は単層符号化のみに適用可能であったEMOSsの予測手法を階層符号化に拡張することが可能となり,EMOSに基づいて階層符号化各層の時空間画質を制御する基礎が確立できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の課題であった「階層符号化における空間MOSの予測手法の確立」はほぼ達成できたため,おおむね順調に進展していると判断される.ただし,平成24年度の当初計画では,得られた空間MOSの予測手法と従来からの時間MOS予測手法を組み合わせて時空間MOSの予測を行ない,その精度の検証までも行なう予定であったが,実際には当該精度検証までには至らなかった.ただし,空間方向のMOSの予測精度については主観評価実験を通して検証を行なっており,また時間方向については従来の検証結果をそのまま適用することが可能であるため,結果として上記の精度検証を含めて,おおむね達成できたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,まず,前年度に構築したEMOS予測手法によって,各層でEMOSを最大化する符号化条件が求められるため,符号化のビットレートに対するこの”軌跡”を階層符号化の各層にマッピングして階層符号化を行なう”時空間のレート制御法”を検討する.ここで,特に時間方向のフレームレートの階層化は,最下位層のフレーレートに対して2のべき乗でしか増加できす,自由度が著しく低いため,この点を考慮したマッピング法について検討を行なう.次に,得られた時空間のレート制御法を実際にH.264/SVC階層符号化器上に実装し,EMOSを最大化する階層符号化器を実現すると共に,多くの試験画像に対して適用し,当該符号化法の有効性の検証を行なう.さらに,シーン間でのMOS変動を抑えて対象動画像全体の画質向上を図るため,申請者が過去に提案している「予測MOSの平坦化に基づく符号化画質の改善法」を階層符号化各層に適用する手法を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まず,物品費は主として,本研究においてアルゴリズムや有効性の検証を行なう際に必要となる試験動画像(テストチャート)の購入に充てる.旅費ついては,昨年度に得られた成果を学会発表するための費用に用いる.さらに今年度から開発したアルゴリズムを実際の符号化器に適用するための作業が発生するため,プログラミング補助への謝金に充てる予定である.
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