2013 Fiscal Year Research-status Report
スループット性能向上を目的とした範囲検索可能分散キーバリューストア
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24500113
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
松尾 啓志 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00219396)
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Keywords | 分散キーバリューストア / スケジューリング手法 / 分散システム |
Research Abstract |
FacebookやAmazonに代表されるように、今や10億人が同時に1つのデータベースにアクセスする時代が到来した。このような大量アクセス環境では、従来の高度な検索性能を有するリレーショナルDBでは対応できず、新しくNoSQLと呼ばれる概念が提案されている。 D-KVSの導入が進むにつれ、キーの範囲を指定した検索要求が高まっている。しかし、大部分のD-KVSの実装はキーをハッシュ化するため、範囲検索時にはすべてのノードに検索要求が行われ、事実上実装は不可能である。ハッシュ化を行わない場合、それぞれのノードに格納される対象Keyは、距離的に近いKey群となり、従って範囲検索の場合でも、必要最小限のノードに対してのみ検索要求を行うことが可能となる。しかし、そもそものハッシュ関数導入の目的の1つである負荷分散ができない。 複数のパケットに分割された範囲検索パケットのうち、一番処理の遅いパケットの処理終了時刻を目標にしたデッドラインスケジューリングを行うことにより、結果として単一検索のパケットの処理が優先され、データベースシステム全体のスループットが向上すると考えられる。 本研究の学術的な特色は、(1)現時点では困難であるD-KVS上での範囲検索を実現するとともに、(2)スケールアウト(台数効果が高い)するスケジューリング手法の開発である。従来の分散スケジューリング手法は、ともすれば経験的な知見(グリーディ戦略)を中心に行われる場合が多かったが、本研究では、理論的に裏打ち可能な分散制約最適化の枠組みで解決することが独創的な点である。さらに、結果として得られる範囲検索可能なD-KVSシステムは、今後の情報爆発社会における重要な要素システムとなることは明らかであり、さらなる発展も期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず計算機シミュレーションにより、様々なクエリースケジューリングの性能とスケジューリングに必要なパケット数(オーバーヘッド)の調査を行った。その結果、スケジューリング性能では最高性能を有する手法の80%程度の性能であるが、パケット数を劇的に削減できる近似手法を開発した。すでに、提案手法を分散KVS のCassandra上に実装し,評価を行なった結果,クエリーのスケジューリングにより、最大で平均応答時間が2.4倍になるとともに、平均的に単一検索リクエストの応答性能の向上を確認した.さらに国内情報処理学会研究会および国際学会で発表した。現在数学的な解析と、より大規模な実装を行い、実運用レベルでの評価を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは現在の近似手法を実機上でさらなる評価を行い、より高い性能向上を目標とする。 また、違う視点として、分散KVSのさらなる性能向上のためには、一貫性制御アルゴリズムのうちの一つであるクオーラムプロトコルのパラメータを動的に変更することが有効であるとの感触を得た。そこで、現在は、クオーラムプロトコルのREAD,WRITE数のパラメータを変更する実装をcassandraに行っている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、計算機シミュレーションに力を入れたため、実装に用いた計算機クラスタは初年度に導入した小規模のシステムで十分であった。 実運用に耐えるレベルの大規模計算機クラスタを導入する。
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Research Products
(2 results)