2013 Fiscal Year Research-status Report
類似画像検索のための類似度測度と再帰的ランキング手法の開発
Project/Area Number |
24500126
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
THITHI Zin 宮崎大学, 工学部, 准教授 (30536959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱 裕光 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (20047377)
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Keywords | 類似画像 / 再帰的ランキング / マルコフ定常確率 / クラスタリング / 類似度測度 / ユーザ満足度 |
Research Abstract |
「画像を用いた画像検索」という概念は以前からあり、画像類似度に関しても多くの測度が提案されてきたがどれも満足のいくものではない、と言われている。本提案研究の目的はユーザの要求にぴったり合致する情報を膨大な画像データベースから探し出して提示できるシステムを開発することである。さらに、ユーザ満足度最大化のために、順位付け、類別、可視化、意味的な解析のための新しい手法の開発を目指す。 また、高いユーザ満足度を目指して新しい画像検索エンジンを開発するためにユーザの要求に関連の深い情報をフィードバックする再帰的ランキング手法を提案し、実際の画像セットを用いたいくつかの実験を通してその有効性を確認する。ここでは、最初の検索で得られた画像をクエリとして再検索するシードネスト(SN)法と呼ばれるアルゴリズムを提案する。さらに、トップランクの画像の正規化検索回数が予測され、最終的に、画像はオリジナルのランキングスコアの線形結合に基づいてソートすることで順位づけられ、ユーザに提示される。提案手法は柔軟性に富んでおり、新時代のWeb検索技術につながる可能性がある。基本的な類似画像検索システムに関してはすでにいくつかの予備的な実験の段階を終えており、有望な結果を得ている。このように、既開発の手法を拡張して、さらにブラッシュアップして提案研究プロジェクトを前進させていく。 検索結果は固定的でなく、変化に絶えず追従していけるように工夫する。また、検索対象がある画像中に含まれていても背景の影響を最小限に抑えて、検出することができ、同時に似ている程度をパラメータにより制御できるような類似度測度の開発を目指す。このことにより、画像の類似度や提示順序を制御できるが、このような機能は従来の検索エンジンにはなかったもので、今後多くの応用分野に展開できるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、多種多様なモダリティのキューを観測することで、相補的に関連情報をもたらす、画像検索のためのシードネスト(SN)ベースの再帰的ランキングシステムの開発を行った。SNベースの再帰的ランキングシステムは、3つのモジュールから成る。①事前ランキング部では、予め画像データベース内のそれぞれの画像をクエリとしてランキング(順位付け)を行い、その結果を保持しておく。②1次検索部では、検索時点においてユーザが例示する画像をクエリとして類似画像を検索し、③最終ランキング部では1次検索部の結果として得られるデータベース内の画像をクエリとして事前ランキング部で保持しているランキング結果をユーザに提示する。また、事前ランキング部は、データベース内のそれぞれの画像をクエリとして1回目の検索を行ったときに上位に位置する画像のそれぞれをもう一度クエリとして検索する再帰的検索部を備える。事前ランキングはユーザが検索を開始する以前に済ませておくが、データベースに新しい画像が加わったり、古い画像が削除された場合にはその都度更新するが、このことで、計算コストが少なく、かつ、妥当なランキングで結果をユーザに提示でき、ユーザ満足度を向上させるという効果が得られた。また、複数特徴再帰的ランキングとクラスタリングは、SNの概念を導入することで、実装される。クエリに対し形状の変形や歪み、部分的オクルージョンを許容し、スケール不変性を持っていて、類似画像を検索できることに加えて、クエリ画像の一部分が類似している画像でも検索できるようなシステムを開発した。これらの成果はいくつかの学術論文、国際会議プロシーディングとして公表されている。 以上の通り、当初の目標は達成されており、加えていくつかの成果も得られているので、計画通りあるいはそれ以上の成果が得られたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降は、前年度で開発した要素技術を基に各モジュールの統合と調和を行い、コンテンツベースの画像検索システムとして完成度を高めていく。画像検索システムの構築に際して、重要なことが二つある。一つは(1)画像間の類似性を的確に定量化すること、もう一つは、(2)ユーザとシステムのやりとりを通してユーザの望みを的確に把握することである。前者については、フェーズ1とフェーズ2で、支配的特徴に基づく新しいタイプの画像類似度を提案してきた。また、後者に対しては、ユーザ満足度と情報検索における行動パターンの間にマルコフ依存性と呼ばれる統計的な関係があることに着目して、ユーザによって提示されたクエリ画像を基にシステムがフィードバックを繰り返す過程で類似度を適応的に変化させ、それによってユーザの要求に的確に応じることができるようなインタラクティブなシステムの開発を目指す。 ポイントは、『同じ』ものでなく、『似ている』ものを探しだすことであり、そこで類似度が重要な概念となる。このような柔軟な認識・検索システムの実現は今後ますます重要性を増してくるであろう。グーグルやYahoo!等多くの検索エンジンは、ユーザがキーワードを用いて検索要求(クエリ)を発行した後に、関連ウェブページを検索し、それぞれのランキング基準に基いてユーザに提示する。一般的に、ランキング基準としてリンク構造がよく用いられているが、現在ではさらに加えて、ウェブページの信頼度、人気度、重要性、季節性等、他の基準を考慮して提示することでユーザ満足度を上げる試みがなされている。ここでは、類似画像検索に向けて「変換不変性、計算時間の短縮、情報量圧縮、柔軟性の確保」のために、支配的特徴を用いることで解決を図る。 最終的にはフェーズ1~3で、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大学院生の自主的な協力もあり、データの収集や計算機シミュレーションを効率よく実行できたため、人件費・謝金が予定より少なく済んだ。 平成26年度は最終年度であり、今までの成果をまとめて、国内外へ情報発信できるように積極的に学会発表などを行う予定であり、研究開発の成果を公表するための経費が増えることが予想されるため、新年度予算と合わせて執行する。
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Research Products
(20 results)