2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500133
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松島 恭治 関西大学, システム理工学部, 教授 (70229475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 住雄 関西大学, システム理工学部, 准教授 (90067760)
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Keywords | 3次元画像 / ホログラフィ / 応用工学・量子光工学 / ディスプレイ |
Research Abstract |
本課題で掲げる三つの部分課題毎の実績は次のとおりである. (I) 【ホログラム再生像のカラー化技術】RGB積層型ホログラムによるカラー化の基礎研究として,一つの白色LEDでRGB 用の3枚のホログラムを照射し,フルカラーホログラムを合成する研究を昨年に引き続き行った.昨年度のビームスプリッタ―とカラーフィルターを組み合わせたシステムでは,部品点数が多く,照明光の利用効率が低いため再生には暗室や暗箱を必要とする問題があった.本年度は,これを45度入射タイプのダイクロイックミラーを2枚用いる方式に変更したため,構造が簡単になり,室内照明下でも再生できるようになった. (II) 【3Dシーン入力素材の多様化とレンダリング技術】3Dシーン入力素材の一つはイメージセンサを用いた合成開口デジタルホログラフィ技術によって取得した実在物体の光波である.この実在物光波のデジタル編集では,従来,物体位置の変更程度の処理しか行えなかった.本年度は,数値処理により再生像のサイズを拡大・縮小する手法を開発した.また,複雑な形状を有する実在物体では,従来の単一マスクを用いるシルエット光波遮蔽でオクルージョンエラーが発生する問題があった.これに対して本年度は複数マスクを用いてオクルージョンエラーを軽減する手法を開発した. (III) 【ホログラム合成のソフトウェア技術】ホログラフィの非専門家であるデザイナーとホログラフィ研究者の双方が使用できる統合的デザインシステムの最初のバージョンが完成した.このシステムは主として会話型デザインツールと3DシーンやホログラムパラメータをXMLデータとして保存するライブラリからできている.このツールを用いることにより,非専門家のデザイナーがホログラムの光波数値合成を行ったり,研究者がデザインされたシーンを自らの研究用プログラムに取り込んだりできるようになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体としては順調と評価しているが,個々の課題ごとに多少のばらつきがある. (I) 【ホログラム再生像のカラー化技術】 やや遅れている.45度入射型のダイクロイックミラーを用いて単一の白色LEDからカラー再生像を発生する研究では一定の成果を得ることができ,室内照明下でも鑑賞可能な明るいカラーホログラムの作製が可能になった.しかし,積層型を作成するための反射膜生成技術とリソグラフィ技術が不十分であり,積層化する目途が立っていない. (II) 【3Dシーン入力素材の多様化とレンダリング技術】順調.実在物光波の数値的処理による実在物の拡大縮小編集ができるようになった.また複雑な形状を有する実在物体でも,ブラックシャドウや部分的シースルー等のオクルージョンエラーをほとんど目立たなくすることができるようになった.今後は,これらの処理に要する時間を軽減することが課題となる. (III) 【ホログラム合成のソフトウェア技術】概ね順調.非専門家と研究者が使用できる統合的デザインシステムの設計が順調に進み,その最初のバージョンが完成した.一方,レンダリングの高速化については,レンダリングプログラムをメニーコアCPUへ実装することを試みたが,拡張ボードとして提供されるタイプのメニーコアCPUでは内蔵メモリ量が不足するため,高解像度ホログラムに応用することはできなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
(I) 【ホログラム再生像のカラー化技術】積層型カラーホログラムの研究を推進するため,カラーフィルター薄膜そのものを積層する必要がある.また積層したフィルターに干渉縞パターン描画する必要がある.この技術が難しいため,専門的な技術を持った企業・研究機関との協力が必要であると思われる.また,積層型だけではなく,液晶パネル用のカラーフィルターを応用したカラー化の方策も探る必要がある. (II) 【3Dシーン入力素材の多様化とレンダリング技術】実在物体光波の埋め込みでは,複雑な形状をした物体についてオクルージョンエラーを低減するアルゴリズムが完成しているが,その処理速度が遅い問題がある.また処理に必要な複数のマスクを自動生成することができない.マスクの自動生成は主として画像処理技術であるので,最新の画像処理アルゴリズムを応用して自動化を目指す予定である. (III) 【ホログラム合成のソフトウェア技術】隠面消去処理の新しいアルゴリズムにより,CGのシーンをそのままレンダリングする方向性も見えてきた.そのような手法ではデザイン自体は従来のCGソフトウェアで行えるため,CGソフトと連携してホログラムのレンダリングのみを行うツールを開発する.また,今年度開発した会話型デザインツールについては,実際に非専門家のデザイナーにより使用してもらい,ユーザビリティの確認とフィードバックを行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在までの達成度欄に記載したとおり,積層型カラーホログラムの製作手法そのものに問題があり,多くの実験をするには至らなかった.そのため,34万円ほどの研究費が残る結果となった. 前年度あまり実施できなかった製作実験を実施するため,60万円の物品費のほとんどを実験材料費に用いる予定である.また,最終年度であるので,これまでに得た成果を発表するために残りの大半を学会参加等に必要な出張費として支出する予定である.
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Research Products
(32 results)