2013 Fiscal Year Research-status Report
論文を構成するサプリメンタルデータを共有・再利用するための基盤技術開発
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24500137
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
山地 一禎 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 准教授 (50373379)
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Keywords | リポジトリ / Eサイエンス / 学術コンテンツ流通 / サプリメンタルデータ / セキュリティ / タイムスタンプ / オープンアクセス / オープンデータ |
Research Abstract |
平成25年度は、成果物を安心して公開できるセキュアな環境整備を実施した。従来の研究で、申請者は文献の登録をベースとしたリポジトリシステム「WEKO」の構築に取り組んできた。このWEKOをベースとし、平成24年度には、サンプリメンタルデータを登録するリポジトリ(サプリメンタルリポジトリ)を構築することができるシステムへと拡張した。このリポジトリシステムは、外部IDサーバと連携して永続識別子としてのパーマネントURLを取得する機能を有する。このIDサーバの機能を拡張し、登録されたコンテンツのハッシュ値に対してタイムスタンプを取得するシステムへと拡張した。 具体的には、IDサーバから登録コンテンツのハッシュ値を受け取り、RFC3161準拠のタイムスタンプサービスを利用してタイムスタンプトークンを取得する「タイムスタンプ取得API」と、取得したタイムスタンプトークンとハッシュ値により改ざん等を検証した結果を返す機能を提供する「タイムスタンプ検証API」を開発した。これらの機能は、IDサーバ内で運用するものとし、JSON形式でのデータ通信により実現した。コンテンツの利用者はIDサーバの存在を意識することなく、リポジトリへのアクセスのみで検証結果を取得することができるインターフェースも用意した。コンテンツを登録した時刻は、商用の時刻認証局によって提供されるタイムスタンプトークンにより保証されるため、学術成果の先取性を確保するという目的にも威力を発揮する。最近では、研究資金提供機関による、研究データのオープン化のための動きが活発化している。本研究の成果は、草の根的なサプリメンタルデータの公開のみならず、そうしたトップダウンによるオープンアクセスポリシーの展開に対応する上でも意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、サプリメンタルデータと呼ばれる論文の補遺となる研究資源を共有するための、次世代の学術コンテンツ流通・保護システムを構築するために、その基礎基盤技術として、次のステップで研究・開発・実証を行うこととしている。3年間の実施計画の各年度において、課題1:論文と紐づく成果公開プラットフォームの開発、課題2:成果物を安心して公開できるセキュアな環境整備、課題3:学会・機関リポジトリを用いた実証実験、をそれぞれ平成24年度から平成26年度の達成目標として設定している。 平成25年度に主に遂行する計画であった、「成果物を安心して公開できるセキュアな環境整備」に関しては、予定通りに研究・開発を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には、先に示した課題3を主として実施する予定である。現時点では、学会リポジトリと図書館リポジトリを実験の対象として予定している。前者の方法としては、現在申請者が提供している情報系学会の電子ジャーナル発信サイトを活用する。基本的にはテスト系環境を用いて実験を行う予定であるが、比較的小規模なSIG 等の参加が期待できる場合には、実環境における新サービスとして組み込む予定である。また、後者の方法としては、申請者が開発したリポジトリシステムWEKO を利用する大学との連携により、実験を行う予定である。
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