2012 Fiscal Year Research-status Report
アクティブ骨導音センシングを用いた常時装着型手入力インタフェース
Project/Area Number |
24500146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
竹村 憲太郎 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (30435440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 悦子 奈良工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (90379529)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ウェアラブル機器 / 骨導音 |
Research Abstract |
平成24年度は,手指を対象として関節角度推定を行うため,センシングデバイスを指に合わせて,設計,制作し,小型化を実現した.これまでは,スピーカとマイクを用いてアクティブ骨導音センシングを行ってきたが,より構造が複雑な手指を計測対象とするにあたり,センサ,アクチュエータを種類から再考した.各種センサ,アクチュエータを評価した結果,スピーカを振動アクチュエータに,マイクを電子聴診器等に用いられるコンタクトマイクに変更することで,骨に能動的に入力した信号がこれまでより容易に計測できることを確認した. 手指には,触覚,圧覚等を感知する受容器が多くあることは良く知られており,振動を感知するものとしてはパチニ小体がある.アクティブ骨導音センシングでは入力信号として振動を採用するが,受容器が多くある手指に何も考えず振動を入力すると,振動は知覚され不快であることは言うまでもない.そこで,入力する振動は人が知覚できないものにする.受容器の特性については古くから報告がされているが,高周波の振動を知覚できないという性質を利用し,アクティブ骨導音の周波数を決定した.また,知覚周波数より高い周波数に設定した場合も,関節角度によって振幅に変化が現れることを確認した. 次年度以降に予定しているアクティブ骨導音センシングを用いたヒューマンインタフェース研究を推進する上で,装着型のインタフェースとすることが重要であることから,指輪型の計測装置としてアクチュエータ,センサを装着できるものとした.また,MP関節角度の推定では,推定誤差約4度という高い精度での推定を実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の最も重要な課題は,手指関節における関節角度推定であったが,これを達成した.これまでの研究では,肘関節でのみアクティブ骨導音センシングによる関節角度推定を実現してきたが,それに加えて指関節でも推定ができることを示した成果は,多くの関節で提案手法が有効である事が期待させるものである. また,アクティブ骨導音センシングに採用するアクチュエータ,センサの見直しを行い,関節角度推定において高い精度を実現した事から,今後の研究において従来の研究では計測が難しかった対象に対しても計測が可能となることが期待できることから,研究は概ね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
筋電位等を用いた手形状推定等の成果も,パターン認識技術が多く採用され,多数発表されている.これらと本研究の差別化を明確にすることが研究推進の上で重要な課題と考えている.具体的には,外部との接触の利用が差別化には重要であると考えている.我々はこれまでタップした際に生じるパッシブな骨導音をアクティブ骨導音センシングと併用し,メニューベースのインタフェースを提案してきたが,タップに限らず物体とのインタラクションにアクティブ骨導音センシングが応用できないか検討する事で,その他の手指姿勢推定手法との大きな差別化を行っていく. また,ここ数年三次元プリンタが広く普及しはじめ,簡単にデバイスを試作する事ができるようになった.我々の研究でも,外部のプリントサービス等を用いてこれを積極的に利用し,ラピッドプロトタイピングを行い研究を推進していく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アクティブ骨導音センシングに用いるアクチュエータ,センサの選定がスムーズ行われた結果,予定より物品費が残るかたちとなったが,これに関しては,次年度導入を予定している移動ロボットの購入に当てる予定である. 手指の関節角推定を実現したこから,平成24年度は技術展示会場にて積極的な成果発表を行った.たくさんの反響を得られたが,その経験から計測装置としてだけでなく,応用例を示すことも重要であると考えている,そこで.次年度はアクティブ骨導音センシングをヒューマンインタフェースとして応用し,ロボットのコントロールを実現する予定である事から,移動ロボットを予算に計上している.
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