2012 Fiscal Year Research-status Report
遍在的ディスプレイ環境構築のための視覚特性の理解とその応用
Project/Area Number |
24500149
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大塚 作一 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (90452929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木原 健 鹿児島大学, 理工学研究科, 助教 (30379044)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 視覚 / 立体視 / カラー / ディスプレイ / ユニバーサルデザイン / 色覚補助 / 国際研究者交流 / カナダ |
Research Abstract |
本課題においては、特徴的な視環境の変化に対応し、(1) モバイル表示環境、(2) 立体表示環境、(3) 2色覚者に配慮したユニバーサルカラー表示環境、における人間の視覚認知特性を理解し、併せて新しい表示機器の開発に資することを研究の目的としている。 本年度は、初年度に当たり、以下のような項目について基礎研究とプロトタイプ開発を行った。 (1) モバイル表示環境(査読付き原著論文1件):以前から継続していたスクロール表示に関する可読性評価結果を原著論文にまとめた(木原ほか、電子情報通信学会、2013)。また、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を利用した視認性評価に着手した。機器の制約が大きいことも明らかとなった。このため、固定機器を利用した基礎実験を併用して、研究を行う予定である。 (2) 立体表示環境(国際会議論文1件):両眼視差と陰影手がかりの何れを立体知覚に利用するかの個人差について調査を行った結果を国際会議で発表した(藤崎ほか、SID2012)。また、世代間における違いについてのデータを収集した(一部について本課題の予算を使用)。また、立体視能力向上のための訓練方法についても、基礎的なデータを収集した。 (3) ユニバーサルカラー表示環境(国際会議論文1件、特許出願2件):モバイルで利用できる双方向(3色覚と2色覚)の色覚補助ミュレータの研究開発を行い、国際会議で発表を行った(大塚ほか、SID2012)。さらに、国内特許を2件出願し、さらに改良を行った。 (4) その他:カナダのヨーク大学よりOno(オオノ)名誉教授を国際研究者交流として招聘し、両眼立体視と運動視に関する研究を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
それぞれの項目において、一定の成果が出ているので、おおむね良好と判断した。なお、ヘッドマウントディスプレイを実際に利用した評価については、予備実験の結果、各種の制約があることが分かった。したがって、計画を多少変更し、さらに基礎的な部分から研究することとした。これに関係し、カナダのヨーク大学から立体知覚や運動知覚の大家であるProf. Onoを招へいし研究交流を深めた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、おおむね当初の予定通りとするが、既により多くの成果が出ているモバイルでの色覚補助についての重点化を行う。具体的には、(1)ユーザインタフェースの改良、(2)実用化に向けての機種依存性の対応、などである。 また、ヘッドマウントディスプレイ利用の視環境評価については、より基礎的な部分に重点を移す予定である。具体的には、ヘッドマウントディスプレイを実際に使用するのではなく、まず、頭部を固定した状態で既存の大型の固定装置を用いて人工表示と実環境との融合特性を詳細に計測する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画では、高機能で3Dのシースルー型ヘッドマウントディスプレイを購入する予定であったが、当該機種は視度(視距離)が固定である点が留意事項となっていた。その後、2Dではあるが、視度調整が可能で比較的安価なシースルー型ヘッドマウントディスプレイ(ブラザー社製WD-100A)が発売されたため、こちらを優先して購入し、視度の影響を先に評価した。実験の結果、視度の影響がかなり大きいことが明らかとなった。 上記の予備検討を踏まえて基礎的な実験を重視する方向で調整することとした。これに関連して、前回の科研費申請において実現できなかった国際交流を優先的に実施した。この結果、今後の研究協力体制を強固なものにすることが出来た。 これらの計画変更により、成果としては十分なものが得られたが、未使用金が発生した。 次年度は、未使用金と合算して、研究遂行に必要な実験装置類(パソコンを含む)の購入や被験者への謝金などを主体として費用支出を計画する。また、研究発表に必要な旅費、英文添削等についても、一定額を振り向ける。
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