2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500151
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
中井 満 富山県立大学, 工学部, 講師 (60283149)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 手書き文字 / 空中筆記 / 文字認識 / パターン認識 / ユーザインタフェース |
Research Abstract |
本課題では、日常的な動作の中から指や手を振って空中に文字を書く動作を検出し、その空間に書かれた見えない文字をコンピュータで認識する研究を行った。具体的には、モーションセンサ(加速度・角速度センサ)を常に携帯し、センサの時系列信号から筆記動作と非筆記動作の識別を行い、筆記動作の場合には文字種の識別を行った。 まず、屋外の実環境下で利用するための空中手書き入力インタフェースおよび認識手法の検討を行った。実環境下では様々な振動など、筆記以外の加速度信号が混入する。これを除去するため、指先と前腕の2か所に加速度センサを装着し、指先のセンサ信号から前腕のセンサ信号を減算した。走行中の車内で筆記したひらがなのサンプル、およびノイズ(振動)を重畳したシミュレーション実験の結果、SN比の低い環境における空中手書き文字の認識率を改善をした。 次に、加速度信号のパワーの変化量を基準として人の動作を検出し、その動作が文字を書く動作か否かを識別する手法を検討した。筆記面の2次元加速度信号の軌跡を線図形とみなし、フーリエ記述子の低次の特徴量を分析した。その結果、ペンを持ち上げたり振ったりする単調な非筆記動作と比べて、ひらがなを書く動作は複数の次元に大きな特徴が現れることが分かった。この特徴量とサポートベクターマシンを識別器に用いることで、非筆記動作を正しく除外することができた。 また、筆記動作の加速度信号より、その文字種を認識する手法を検討した。3次元加速度ベクトルの時系列を特徴量に、隠れマルコフモデルを識別器に用い、空中のどの向きにでも筆記具をどのように持っても認識できる技術、類似文字の識別におけるペン先方向の加速度特徴の利用法、不特定筆記者の手書き文字認識において筆記具の角速度情報による加速度情報の補正法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は交付申請書に計画した通りに実施できた。空中での腕の動作解析のためにモーションキャプチャ装置を購入する予定であったが、安価なウェブカメラで手や腕を追跡するシステムを構築できたので、予定よりも支出を大きく抑えることができた。また、平成25年度の研究として予定していた空中手書き文字認識精度の向上のための方策の一部を前倒しにして進めることができた。ただし、データの収集が当初の予定に対して十分ではないため、おおむね順調であると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は前年度のデータ収集と分析を継続しつつ、実環境下の空中手書き文字認識の精度を向上することを目的とする。 文字の認識には筆跡の時系列パターンの認識に適したHMM(hidden Markov model)方式を用いる。まず、三軸加速度センサおよび三軸角速度センサからセンサの姿勢を推定し、センサ座標系から重力座標系への変換手法を検討する。この複数のセンサの重力座標系における加速度信号を特徴量として用いる。次にセンサの組み合わせについて実験し、認識に有効な必要最小限のセンサを選定する。また、一文字単位の認識を目標とし、一文字を筆記する前後に間を入れてもらい、加速度のパワーやリズムの変化から文字を切り出す方法を検討する。これを文字の字画のHMM、画間の移動のHMM、文字の始端・終端のHMMとして学習し、連結して一筆書きモデルを生成し、ベイズ識別によって文字を認識する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は手や腕の動作解析が主であったので、安価なウェブカメラで代用した。平成25年度はより広範囲の動作を解析するため、カメラの増設、もしくはモーションキャプチャ装置の購入を検討する。また、データの収集と整備のための謝金、研究成果を発表するための旅費や論文投稿料として使用する。
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Research Products
(13 results)