2012 Fiscal Year Research-status Report
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24500156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂内 祐一 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (70622124)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 嗅覚ディスプレイ |
Research Abstract |
当該研究では、精密な香り射出コントロールが可能な嗅覚ディスプレイを利用して、微小な時間単位で香り濃度を変化させるような動的な香り提示による人間の嗅覚特性を計測することを研究目的としている。初年度となる平成24年度の計画では、香りの連続提示と同等の主観評価値を持つ香りパルス提示方法を開発することを目標に以下のステップで研究を進めるものであった。 (1) 文献調査・学会への参加・ヒアリングを通しての調査活動・意見交換、(2) 予備実験によるデータ収集、(3) 香りの連続提示とパルス提示の主観評価実験 (1)については、日本バーチャルリアリティ学会香りと生体情報研究会を中心に学会へ参加しながらヒアリングを行い、研究の状況を把握するとともに当該研究に対する意見交換の結果を実験方法に反映させた。 (2)では、実験に使用する機材・PCを調達し、使用する香料を決定して実験環境を整備した。また嗅覚ディスプレイ制御に必要なソフトウェア環境を整え、実験用プログラム開発を終えた。この実験環境で香料ごとの検知閾値など基本的なデータ収集を行った。 (3)では、香りの連続提示とパルス提示を主観評価により比較するための実験を、研究室の学生を被験者として行った。この実験での目標は、ある一定時間連続的に香りを射出する場合と同等の香りの強さを、同じ時間連続射出の2分の1の量のパルス射出で実現することである。このことにより、従来方法の連続射出の半分の香料射出量で同じ強度の香りを感じさせることができ、残り香や順応などの影響を低減する効果が期待できる。年度末までの実験では、3種類の香料について連続射出とほぼ同等の主観評価値となる香りパルス射出パラメータが求められたが、まだ精度が不十分であり追加実験が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度計画のステップ(3)香りの連続射出と同等の主観評価値を持つ香りのパルス射出のパラメータ(連続射出の射出量の2分の1の条件下において)が香料ごとに異なるのか否かを含めて結論を得るには、よりデータ数を増やした実験が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度計画ステップ(3)の実験を継続するとともに、平成25年度の研究実施計画に基づき香りのパルス射出に対する嗅覚順応を調べる実験を行う。 まず予備実験で順応に対する個人差を測定して、被験者をグルーピングしてスクリーニングし、本実験での実験条件を決定する。本実験において、同等の主観評価値を持つ香りの連続射出とパルス射出をペアにして、嗅覚順応測定実験によりその差を明らかにする予定である。 また平成24年度の研究成果を含めて、得られた知見について外部発表を行うとともに、情報収集・意見交換のために学会へ積極的に参加する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度未使用額25,662円は物品調達費用が予想を下回ったためであり、次年度予算と合わせて以下の用途に使用する予定である。 上記実験を行うための研究補助員および被験者への謝金に人件費・謝金を使用する。また上記学会活動のために旅費をあてる。 平成26年度に計画している動的に変化する香りパルスの影響に関して、人の生理指標に基づいた評価実験を行うため、脳波計などの生理計測装置を本年度の予算で購入する予定である。
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Research Products
(1 results)