2014 Fiscal Year Research-status Report
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24500174
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
坂間 千秋 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20273873)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 不誠実推論 / 反事実推論 / 会話の含意 / アブダクション / 欺瞞 / エージェント間交渉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(1)エージェント間交渉における不誠実な振舞いのモデル化と実装、(2)エージェントによる反事実推論の形式化、及び、 (3)アブダクションと会話の含意による欺きに関する研究を行った。具体的研究内容は以下の通りである。(1)交渉は人間の社会的行動の一つであるが、交渉の過程で人間は自らの利益を高めるために真実とは異なる言明を行うことがある。本研究では、交渉の場面におけるエージェントの不誠実な振舞いを仮説論理プログラム使ってモデル化し、交渉のプロセスを解集合プログラミングシステムの上で実装し、実験を行った。(2)人間がウソをつく場合、事実と反する虚偽の言明を行うとどうなるかを考える。このような推論は反事実推論(counterfactual reasoning)と呼ばれる。本研究では、エージェントが不誠実な行為をする上で行う反事実推論について検討を行い、議論フレームワークにおいて形式化を行った。(3)人間は会話において、相手の言明の背後にある言外の事実を推測する。こうした推論は言語学では「会話の含意」(conversational implicature)と呼ばれるが、本研究ではまず会話の含意と人工知能の仮説推論であるアブダクションとの関係を論じ、両者の違いを検討した。また、聞き手の推測を逆手にとって話し手が聞き手を欺く方法(misleading)について検討を行った。(1)-(3)のそれぞれの研究成果は、国際会議やジャーナルで論文発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の3年目の平成26年度は、本研究の目的の一つであった不誠実に振る舞うエージェントの形式化と、不誠実な推論過程の分析を完了した。また、不誠実な行動を戦略的に選択するようなエージェントの進化に関する実験も行っており、その研究成果を平成27年度に論文にまとめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は本研究の最終年度に当たるため、これまでの4年間の研究の総括と研究成果の発表を中心に活動する。また、本研究の過程で明らかになった問題点と課題を整理し、今後の研究計画を策定する。
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Causes of Carryover |
平成26年度はほぼ当初計画通り研究予算を使用したが、平成25年度からの繰り越し予算である30万余がそのまま残る結果になった。 (平成25年度は当初予定していた海外出張を、当該国の政情不安でキャンセルした経緯がある。)
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は本研究計画の最終年度で、本研究の成果発表のために国内外への複数回の出張を計画しており、平成26年度からの繰り越し予算は全て使用する予定である。
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Research Products
(5 results)