2013 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルメディアの横断的解析に基づく東日本大震災の評判分析
Project/Area Number |
24500180
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Research Institution | Chiba University of Commerce |
Principal Investigator |
橋本 隆子 千葉商科大学, 商経学部, 准教授 (80551697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白田 由香利 学習院大学, 経済学部, 教授 (30337901)
久保山 哲二 学習院大学, 付置研究所, 教授 (80302660)
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Keywords | 東日本大震災 / ソーシャルメディア / データマイニング / 横断分析 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
東日本大震災に関するソーシャルメディアの横断的解析を行うために以下を実施した. 1) 対象ソーシャルメディアとして,NPO法人(SAVE IWATE) 提供による被災者ブログと,震災後にニコニコ動画から生放送された東京電力や政府の記者会見,震災関連のTweet,kakaku.com 上の震災関連の書き込みを選択し,データの整理・開発環境構築を行った.Twitter に関しては,約90万件に及ぶ大きなデータとなるため,米国 UCLAの共同研究者とともに,UCLAの計算機資源を利用可能な環境を構築した. 2) 昨年度に実施したLSA (Latent Semantic Analysis)手法に加えて LDA(Latent Dirichlet Allocation)手法を用い,ソーシャルメディア上で被災者ニーズや一般の人々の反応がどのように変化していくかを時系列で示すツールを開発し,NPO提供のブログとニコニコ動画の視聴者コメント,kakaku.com の書き込みに対してトピックの抽出を行った.Twitterデータについては,UCLAの計算機資源をフル活用し,ニコニコ動画のデータから抽出された特徴的な単語群の発生頻度をカウントし,時系列で変化していく様子を示した. 3) 対象ソーシャルメディアにおいてトピックが互いに反応しあっているかの評価を行い,横断的解析を実施した.被災者のニーズが時間が経つにつれ変化し(例:生きることに必死→仕事が必要→メンタルケアが必要),それに応じる形でkakaku.com の書き込みも被災地への物資支援から被災状況に対する不安へと変化していることが確認できた.またニコニコ動画上の視聴者コメントとTwitter上のTweets が反応し合い,東日本大震災後に「福島,危険」,「原発,脱出」,「東電,社長」といったような新たな概念が発生していることも解析できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の目標は,重要語抽出,話題構造抽出の改良を行いつつ,ソーシャルメディアの横断解析のために,各メディアに共通して現れた話題構造やある種の反応によって発生した話題構造,特定のメディアに特徴的に見られた話題構造を横断的に評価することであった. 1) ソーシャルメディアの横断的評価:NPO法人(SAVE IWATE) 提供によるブログと,kakaku.com の書き込み,震災後にニコニコ動画から生放送された東京電力や政府の記者会見,震災関連のTweet を選択し,ソーシャルメディア間の時系列関係評価を行った.被災者のニーズが時間が経つにつれ変化し(例:生きることに必死→仕事が必要→メンタルケアが必要),それに応じる形でkakaku.com の書き込みも被災地への物資支援から被災状況に対する不安へと変化していることが確認できた.またニコニコ動画上の視聴者コメントとTwitter上のTweets 間の関連により,東日本大震災後に「福島,危険」,「原発,脱出」,「東電,社長」といったような新たな概念が発生していることも確認できた. 2) システム開発:重要語抽出,話題構造抽出のために,LSAに加え,LDA手法を用いたシステムを開発した.開発したシステムは,Webサービスとして研究者間で共同で利用できる環境も構築済である.また,LSAの結果については,3次元行列として時系列評価を行う手法も提案し,時系列の話題構造変化を可視化可能となっている. 3) モデル化:上記の結果をベースに,ソーシャルメディアを横断的に評価するためのモデル構築を行っている.特にTwitterで拡散される新たなコンセプト(単語共起による新しい概念)を効率的に発見する手法として,ソーシャルメディアの横断的解析が効果的であることを考察し,論文として発表している.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,ソーシャルメディアの横断的解析の実験・評価をさらに進め,得られた時系列構造から,各ソーシャルメディアの特徴を解析するとともに,特に東日本大震災について評判形成・伝搬のプロセスを明確化していく. 1) ソーシャルメディアの横断的評価(継続):昨年度に開発したLDA手法を提供し,手法の改良も含め,東日本大震災に関する時系列話題構造変化や横断的な相関関係を評価する.震災前,震災後(時間が十分に経過した後)のデータも解析し,ソーシャルメディアにおいて,震災という状況特有の反応がどのように見られたかを確認する.LDAとLSA,モジュラリティなどの各種手法の結果も比較し,手法の改良も継続的に行う. 2) システム開発:手法の改良の考察に基づき,時系列話題構造変化や横断的解析をより効果的に実施するために,システムの改良も実施する.現在開発中のソーシャルメディア解析のためのWebサービスの整備も実施し,継続して利用可能なシステムを構築する. 3) モデル化:横断的解析結果をベースに,各ソーシャルメディアの特徴を解析し,東日本大震災発生後の評判形成プロセスをモデル化する.現状,ニコニコ動画とTwitter間の話題生成・伝搬のモデルを考察しているが,それをさらに進め,他のソーシャルメディアも含めたモデルを生成する.災害が発生した際に,どういったイベントにより人々の評判が生成され,それがどのように伝搬していくかについて考察し,今後の研究展開を考える. 4) 成果発表:すでに論文発表は随時行っているが,本研究のまとめとなる論文発表を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者の久保山哲二先生は,当初海外出張を計画されており,その旅費として分担金を利用する予定でありましたが,昨年度,海外出張の代わりに国内出張(3回)となったため,未使用額が発生しました. 今年度,海外出張にあたっての学会費等として,使用予定です.
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Research Products
(8 results)