2012 Fiscal Year Research-status Report
実世界の普遍的性質を利用した状態行動空間の汎化と学習機能を有するロボットへの適用
Project/Area Number |
24500181
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
伊藤 一之 法政大学, 理工学部, 准教授 (90346411)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 汎化 / 状態行動空間の抽象化 / 強化学習 / タコ型ロボット / アメンボ型ロボット / 衝突防止 |
Research Abstract |
本研究では,生物の振る舞いをヒントに,従来の統計処理に基づく汎化とは異なる新しい枠組みとして,「実世界の普遍的性質を利用した汎化の枠組み」を提案することを目的とした.これにより,ロボットは,わずか数十回程度の試行回数で,さまざまな状況に適応可能な汎化された方策を学習することが可能となり,これまでロボットの活躍が困難であった複雑な未知環境において適応的に振る舞うことが可能なロボットを実現することができる.本年度は,4種類のロボットの試作機の開発を行った.各ロボットについての概要は以下の通りである. 【タコ型ロボット】 多自由度を有するタコ型ロボットを試作した.実世界の力学的性質を利用して汎化機能を実現するため,関節をゴム素材を用いて実現し,また,すべての関節の運動をわずか2本のワイヤーを用いて制御する機構とした.これにより,腕の形状は,把持する物体の形に合わせて適応的に変化することが可能となり,学習器は,把持する物体の形状を認識することなく,同一の動作でさまざまな物体を把持することが可能となった. 【アメンボ型ロボット】 アメンボと同一の原理を用いて音源方向へ移動するロボットを試作した.アメンボが水の波紋の性質を利用し,単純な動作の繰り返しで波紋の中心へ移動可能なことに注目し,音の持つ波紋と同様の性質を利用して音源探査を行う機構を実現した. 【打叩ロボット】 棒を用いて環境を打叩し,ナビゲーションを行うロボットを試作した.地面を構成する素材の違いにより発生する音の大きさが異なるという性質を発見し,その性質を用いてナビゲーションを行うことが可能であることを確認した. 【視覚に基づく衝突防止ロボット】 単眼の視覚情報のみを用いて衝突回避を行うロボットを試作した.見た目の拡大率から衝突までの時間が推定可能であるという性質を利用し,単眼であっても衝突が回避可能であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初想定した4種類のロボットすべてについて試作機を製作することが完了しており,現在,その試作機をもとに提案手法の有用性を検証している段階である. また,カメラ会社,自動車会社のエンジニアをはじめとして様々な専門家との意見交換も行っており,実用化にあたってのアドバイスなど,貴重な意見も得ている. さらに,研究成果の一部を国際会議等において発表しており,Best paper awardを受賞するなど高い評価を受けている.
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Strategy for Future Research Activity |
すでに,試作機の製作は完了しており,当初の予定より若干早く進んでいる.また,試作機が予想より早く完成したこともあり,試作機を製作するための費用も予定より少なくなっている.このため,浮いた費用は,成果の発表へと有効に利用していく予定である.各ロボットにおける今後の予定は以下のとおりである. 【タコ型ロボット】 物体の把持以外のタスクを学習させ,異なる複数のタスクに対しても有用であることを確認する.また,学習された結果を解析し,いかにして汎化が行われているのかを確認する. 【アメンボ型ロボット】 波紋の性質を利用することで,簡単な動作の繰り返しで波紋の中心へ到達可能であることを数学的に証明する. 【打叩ロボット】 音の大きさ以外にも周波数特性や,反響音などを利用してナビゲーションを行えるよう,試作機を改良する. 【視覚に基づく衝突防止ロボット】 実用化を目標に,各種フィルターを付加し,ノイズの除去,検出精度の向上を図る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は,試作機の改良および,研究成果発表ならびに研究に関する打ち合わせ・情報収集に使用する予定である.なかでも,当初の計画に比べ,ロボットの製作が順調であることから,成果発表により多くの研究費を充てる予定である.
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Research Products
(9 results)