2013 Fiscal Year Research-status Report
エージェントシステムによる避難指示と避難行動の解析と減災への応用
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24500186
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
高橋 友一 名城大学, 理工学部, 教授 (80278259)
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Keywords | 知的エージェント / 群衆シミュレーション / 避難情報伝達モデル / SNSによる避難情報案内 |
Research Abstract |
本研究は、避難行動において重要な要素の一つである人に着目し、身体的な相違の他に個人の心理状態、避難する人への情報提供などを考慮した避難シミュレーションを構築する。具体的には、過去の災害報告書を参考に、数千人規模で建物からの避難行動を一律にマクロレベルで扱うのではなく、人への情報の与え方や人の状態を変化させる要因 -- 例えば、危険をおかして他の人の救助に向かうなど愛他行動 -- を含めた個人レベルの行動要因を表現し、マルチエージェントシステムを構成する。 避難シミュレーションとして従来研究で取り扱われていない項目:(1) 避難者の心理状態を、BDI(Belief - Desire - Intention) モデルで個人毎の行動パターンを表現する。(2)老若男女や身体的特徴に加え、性格や家族関係等の人間的な属性を持つ。(3) 避難指示に加え、会話による避難者間の情報共有を可能にする、ーを取り入れた機能を実現する。それにより、実際に人間での実証実験や避難訓練をすることはできない様々な状況で避難行動をシミュレーションし、避難者にどのように情報を提供すると避難効果があるかの検討結果を防災計画に役立てる。特に、館内放送やTwitterに代表されるSNSによる情報提供、それによる避難者の心理状態が引き起こす避難行動の相違などをシミュレーションで示す事で、大型施設での避難計画の評価が可能にし、より安心安全な生活に役立つ避難シミュレーションの実現を目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年度は、2012年度に作成したシミュレーション環境を用い、以下の項目について検討を行い予定した内容を実現できた。 1. 5階建ての建物(大学図書館)から1,000名規模の避難行動のシミュレーション実験を行った。避難状況として、一斉放送による避難指示に加え、伝達(声が届く)距離が10mに限定された図書館の係員からの避難誘導した場合、建物内部の避難者だけの場合と建物外部からの救助隊が建物内部に救助に入る場合など、異なる4つ状況で評価を行った。 2. 名古屋駅前の地下街における避難を想定した環境を用意した。駅に代表される公共施設の地下街における避難は、建物避難に比較し、一桁違う10,000人規模が対象になる。さらに、一定の人数でなく新たに地下街に流入してくる人もいるなどの特徴がある。そのような状況を効率よくシミュレーションするためにGPGUを使用した並列処理方法を検討した。 3. 非常事態発生、避難情報指示などの情報伝達手段として、Twitterに代表される携帯情報機器を用いた情報伝達を新たに追加検討した。その新しい通信手段による避難指示で、行動が変化し、何割の人が情報で行動を開始すると全体としての避難行動に結びつくかを評価するシステムの検討を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
災害時に迅速な避難行動を妨げる要因として、避難指示が十分に伝わらない事や避難放送を聞いてもそれぞれの事情で、即に避難する人、用事を済ませてから避難する人、避難しない人がいる事が指摘されている。避難指示情報を的確に連絡・提示し、人(エージェント)に避難行動を促す事ができるように、避難放送や他人からの情報を元に避難開始に至までの人の内面状態を表現するエージェントモデルをさらに詳細化し、情報と行動を定性的に評価する。 その評価において、情報を受けたエージェント行動、さらに全体の避難行動が如何に変化するかをシミュレーション解析する上で、迅速な避難行動をする上で重要な要因となる避難放送、救助隊の指示、会話による情報共有の要因を整理したシミュレーション・シナリオを検討する。 具体的には、館内放送(一斉放送)、警備員(口コミ)や携帯情報端末(Twitterなど)などの異なる情報伝達手段による避難行動の変化を、ウィバー・シャノンの3つの通信伝達レベルで整理する。その上で、シミュレーション結果により提示される情報の完全さ、提供情報から行動へ時間の相違による避難行動の質的な変化から得られる知見をもとに、災害時の避難放送や防災計画に反映する事で、減災といった安心安全な社会構築に役立てる事を目的とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた機器購入を、共同研究者が得た奨学金寄付金で対処したため。 さらに研究を進めるため避難シミュレーション結果の評価を行うプロジェクト提案を行うために、7月に開催されるシンポジウムに参加を予定している。
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Research Products
(6 results)