2012 Fiscal Year Research-status Report
小惑星探査機はやぶさ2に搭載される複数の探査ローバによるセンサネットワークの構築
Project/Area Number |
24500195
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三河 正彦 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (40361357)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 小惑星探査ロボット |
Research Abstract |
本研究の目的は,無線ネットワークを利用した複数の小型ロボットによる小惑星表面探査手法を確立することである.小惑星探査ロボットに要求される機能は,(1)移動機能 (2)小惑星探査機能 (3)自己位置推定機能 (4)省電力設計の4点である.我々の提案する無線ネットワーク接続された複数台の移動機構を持つ小型探査ロボット群を用いることにより,小惑星上を効率良く探査活動できる.また各ロボット間通信の電波強度(RSSI)を利用した自己位置推定機能により,位置を特定した探査・分析も可能となる.冗長な通信経路を確保できるメッシュ型ネットワークにより,トラブルに対する頑健さも備える.本研究課題では(2)~(4)の機能の実現を分担し,次の3つの目的に重点を置き研究を進めている.<目的1>省電力通信規格ZigBeeを利用し,動的なメッシュ型ネットワークを構築する.<目的2>RSSIを利用し,複数の探査ロボット間の相対位置または小惑星上の絶対位置関係を算出する自己位置推定機能を実現する.<目的3>省電力マイコンを用い,実行タスクに応じた消費電力を評価した最適設計する. 研究初年度は目的1と2の検討を中心に,(a)メッシュ型無線ネットワークの実現,(b)自己位置推定の実現,(c)試作機の製作と耐久試験を行った.(a)については,ZigBee規格の物理層とMAC層のみ定義したIEEE802.15.4を利用した通信機能の実装し,ビーコン方式によりトラブルに頑健な複数ロボット間のデータ共有手法を実現した.(b)については,ロボット間の相対距離と角度および通信時に得られるRSSIの関係を数理モデル化し,各ロボット間の相対距離の推定を,遺伝的アルゴリズムにより実現した.(c)については,ロボット間距離を精度良く推定するために複数アンテナと省電力マイコンを搭載した探査ロボットを試作し,試作機の耐放射線も実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の主要な目的である(1)複数台のロボットによるメッシュ型ネットワークの構築と(2)自己位置推定機能の実現については,順調に研究開発が進んでいる.(1)については,試作機の製作およびZigBeeによるネットワークを構築し,ビーコン方式によりトラブルが発生したロボットを特定しつつ,健全なロボット間で通信データを共有する機能が実装できている.(2)については,1台のロボットに複数のアンテナを装備することにより,3次元における相対位置推定が可能となった.また耐久試験の一部ではあるが,耐放射線試験も実施し,はやぶさ2プロジェクトで想定されている放射線量に対して,試作機に用いたマイコンおよびアンテナが正常に動作することも確認できた. しかしながらH24年度は,試作機の製作と自己位置推定手法の検討に時間がかかり,研究成果の発表が当初の計画よりも少なくなってしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
当初はやぶさ2に搭載されるMINERVA-IIでの採用を目指し,MINERVA-IIコンソーシアムに研究チームを組織し参加してきた.ところが,H24.6.6開催のコンソーシアムにおいて,我々が提案していた複数の小型ローバによるセンサネットワーク探査手法が採用されないことが決定した.それに伴い,研究開発目標を2014年に打ち上げられるはやぶさ2に搭載されるMINERVA-IIではなく,はやぶさ2の次世代機はやぶさMk2や海外の探査機に変更することとした.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初は,2014年に打ち上げられるはやぶさ2に搭載されること目指して,エンジニアリングモデルやフライトモデルの作製,および,耐久試験に予算と時間を割く計画を立てていた.ところが前述のように,はやぶさ2に搭載されるMINERVA-IIプロジェクトでの採用は見送られたため,当初は時間の関係で検討項目から外していた別の通信方式を新たに検討することとした.具体的には,これまで2.4GHz帯のZigBeeを検討してきたが,900MHz帯のZigBeeも検討することとした.2.4GHz帯よりも周波数の低い900MHz帯では,電波の回り込みの特性が良いことが知られており,小惑星の地形に探査ロボットが隠れてしまった場合でも,通信が遮断されること無く探査を続行できる可能性が高くなる.そこで次年度以降では,これまでの計画通り2.4GHz帯のZigBeeを用いた試作機に加えて,900MHz帯のZigBeeによる試作機も作製することとする.
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Research Products
(3 results)