2012 Fiscal Year Research-status Report
柔軟なデュアル構造を有する超広帯域エレクトレットコンデンサセンサの開発
Project/Area Number |
24500196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
蔭山 健介 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (30272280)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フレキシブルセンサー |
Research Abstract |
極薄フッ素樹脂 (PFA)フィルムにAl電極を蒸着又は溶着により取付け,コロナ放電によりエレクトレット化したフィルムとインクジェットプリンティングによりシリカ凝集体の微細パターニングギャップを形成したフィルムを積層して,フレキシブルECS素子を作製した。そして、作製したフレキシブルECSについて,市販の広帯域加速度センサともにAl板の振動測定を行い、その性能を評価した。その結果、1Hz~10kHzにおいて市販のセンサーと同等以上の感度を有することが明らかとなり、安価でフレキシブルな加速度センサーとしての可能性を示すことができた。次に、このフレキシブルECSを用いて音響測定を行ったところ、1~10kHzの平均感度は-60 dB(0 dB=1 V/Pa)であった。これは市販のマイクロフォンより低感度ではあったが、加速度だけでなく音響も測定できることが明らかとなった。さらに、同じフレキシブルECSを用いて、心音の測定を行ったところ、明瞭に心音を検出できることが分かった。また、両面テープを用いることで強固に人体に取り付け可能であったことから、従来の体導音センサーと比較して取り付けやすく、安価なセンサーとして実用化できる可能性が高まった。 次に、フレキシブルECSのエレクトレット電位、各種フィルムの厚さ、素子面積について検討を行った。その結果、素子の静電容量(素子面積とフィルム厚さ)が、フレキシブルECSの性能に最も強く影響があることが分かり,フッ素樹脂層を極力薄くすることが今後の課題となった。また,取り付けやすさについて検討を行ったところ,柔軟性は十分であったがテープで接着後に取り外すときなどの折れ曲がりでフィうるむ積層間が浮き上がる場合があり,接着層の導入などによる過度のギャップの変形の抑制が課題となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
素子を折りたたみ,PPフィルムで保護されたフレキシブルECSを製作し,それを用いた生体信号および各種力学情報を計測することができた。一方で,植物の発泡音測定までを行う時間が無く,これについては来年度以降に実施する予定である。 従来型センサとの比較として,市販の加速度センサとの比較を行い,同等の性能でありながら安価でフレキシブルなセンサとしての可能性を示すことができた。一方,心音などの測定は電子聴診器などの市販の機器を購入する予算が無かったため実施できなかった。 エレクトレットの表面電位,フィルムの厚さ,電極の厚さと材質をパラメータとして性能の改善を試み,フッ素樹脂層の厚さが最も重要なパラメータであることが分かった。微細パターンニングの形状,パッケージの方法などについては今後の課題として残った。
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Strategy for Future Research Activity |
フレキシブルECS素子を2枚積層する事によって複数の力学信号を測定可能なデュアル構造ECSを作製する。そして,金属や樹脂の板に取付け,加振機,スピーカー,圧力チャンバーを用いて,音響,振動,加速度,圧力などを測定し,性能評価を行う。 さらに,従来型センサと性能比較を行い,エレクトレットの表面電位,フィルムの厚さ,電極の厚さと材質,微細パターンニングの形状,パッケージの方法をパラメータとして性能の最適化を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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