2013 Fiscal Year Research-status Report
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24500203
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
西野 隆典 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40329769)
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Keywords | 立体音響 / マイクロホンアレイ / 数値解析 / 音場再生 |
Research Abstract |
高臨場感音場再現・生成を可能とするシステムの基礎技術として,音源方向別に異なる周波数特性を付与可能なマイクロホンアレイシステムの検討,ならびに超指向性スピーカ,振動式スピーカを用いた再生技術の検討を行った。本年度得られた成果は,1) 球状マイクロホンバッフルをもとにした新たなマイクロホンシステムに対する音響数値解析,2) 室内において一定の地点または一様な場所での音声再生システムの予備検討である。 新たなマイクロホンシステムの検討においては,人間の頭部形状に由来する周波数特性である頭部伝達関数を目標とし,マイクロホンバッフルの形状の検討,および数値解析による周波数特性の調査を行った。数値解析の結果から,頭部伝達関数で現れる6~8 kHz帯域での特徴が検討するマイクロホンシステムにおいても現れることが確認できた。 再生技術の検討においては,超音波振動素子を用いた超指向性スピーカを複数台用いたスポット再生,ならびに振動式スピーカの周波数特性の改善を検討した。検討したスポット再生手法では,所望の地点での音圧上昇は見られたが,音の漏えいなどの問題が残った。また,振動式スピーカシステムの特性改善においては,広域での利得の改善が見られた。今後の課題として,マイクロホンシステムにおいては,バッフルにおける受音位置の決定,ならびに任意音源方向に対する音響インパルス応答の算出が挙げられる。また,再生システムにおいては,振動対象が持つ非線形性の影響を考慮した改善手法の検討が挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の達成度について,音像制御,集音技術について述べる。 音像制御においては,昨年度検討した超指向性スピーカを用い実環境下での音像制御手法に加え,任意位置でのみ再生が可能なスポット再生システムの検討を行った。これらの検討の結果から,超指向性音源を用いた場合でも,通常のスピーカと同様の音像制御が可能であることが確認できたが,指向性が強いことに由来する音の漏えいへの対策が課題として残った。 集音技術においては,受音点から離れた位置にある音源の信号を効率よく収集するための技術として,両耳(バイノーラル)収録技術を参考としたマイクロホンシステムの開発の検討を行い,3D CADと数値解析とを組み合わせて実施した。解析の結果,所望の音響特性を得ることができた。 これらの成果は,査読付き論文1報,2件の学会発表(国内2件)として報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロホンシステムの音響解析を重点課題とする。 マイクロホンバッフルの設計指針として,人間の頭部形状の計測データを参考にするとともに,算出される結果の成否として頭部伝達関数から得られる音源方向ごとの特徴量を尺度として用いることを考える。この結果得られる音響インパルス応答をデータベースとしてまとめ,公開するとともに,マイクロホンアレイシステムの製作を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画に則った物品調達や旅費を支出したが,必要となる機材の価格の変更などによる差が生じたため。 集音技術に関する機器の調達,ならびに成果発表に関する旅費や印刷費等への支出を計画している。
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Research Products
(3 results)