2014 Fiscal Year Annual Research Report
MAP推定ノイズ除去と単一話者区間推定に基づくブラインド音源分離に関する研究
Project/Area Number |
24500204
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川村 新 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (60362646)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 音源分離 / ノイズ除去 / 単一話者区間 / MAP推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,MAP推定ノイズ除去と単一話者区間推定に基づくブラインド音源分離に関する研究を実施した.提案法は,2チャンネルの観測信号から,複数の音源を分離し,さらにノイズ除去を実現するものである.25年度までの成果により,単一話者区間に基づく音源分離を実施した後に,MAP推定ノイズ除去を適用することが望ましいことがわかった.すなわち,提案法は,部屋の残響や環境ノイズを含む観測信号に対して,音源分離性能を保持しなければならない. そこで最終年度では,実環境での提案法の利用を重視し,残響および環境ノイズに対応できる,音源分離技術の開発を主体とした.25年度までの方法では,部屋の残響が十分小さいことを想定したシミュレーションにおいて,単一話者区間に基づく音源分離法が有効であることを確認していた.しかし,提案法は,原理的に強い残響特性が存在する環境へは対応できない.26年度では,音源分離性能を改善するため,リアルタイム処理が可能であった提案法を,いったんバッチ処理に変更し,残響および環境ノイズにロバストな方式に作りかえた.これは,単一話者区間において,残響の周波数特性をベクトル化し,すべての単一話者区間で平滑化することにより,残響およびノイズ耐性に優れた音源分離を実現する方法である. 一方,類似のアプローチで高性能な音源分離を実現する従来法も存在する.従来法では,単一話者区間の仮定を必要とせずに,個々の時間-周波数ビンごとに,スカラー値に対する音源分離を実行する.原理的には提案法と同様の結果が得られるものの,ベクトルで音源分離を実行する提案法に比べて演算量が膨大となる.実環境において収録した2~6名の混合音声(各200通り)に対して,提案法は従来法の5.5%~35%の演算量で従来法と同等の音源分離性能を示した.特に,4人までの少ない音源数に対しては,従来法を上回る結果が得られた.
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