2012 Fiscal Year Research-status Report
人の活動支援システムの構築を目的としたモデルベース3次元物体認識手法の開発
Project/Area Number |
24500209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
前田 誠 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 助教 (00274556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 勝裕 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (00150516)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 3次元物体認識 / 形状モデリング / 人間支援システム / 形状記述法 / 注視領域 / 混合分布モデル / 注視モデリング / 特徴抽出 |
Research Abstract |
本年度は、以下の3つの計画について研究を進めた。 【計画1:ステレオ画像中の対応点探索のための注視領域設定法の開発】 【計画2:注視領域の信頼度を考慮した混合分布モデルの開発】 【計画3:局所的かつ大域的な3D形状記述法の開発】 計画1では、本年度導入したKinectで3次元データ取得実験を実施したところ、比較的大きな物体であれば十分利用できることを確認した。そのため、効率的な物体認識を行う上で計画的に適切な注視領域を設定する方法について考案した。複数の注視領域から生成される特徴量の組み合わせにより確率モデルを構築し、そこから算出される情報量に基づいて適切に注視領域を設定する手法を開発中である。また、人の寝姿勢をKinectで撮影し、適切に注視領域を設定することで、呼吸・心拍をモニタするシステムの開発にも取り組んだ。実験において、同時に採取した呼吸バンドの情報と高い相関で呼吸リズムを抽出できることを確認した。このことより人の健康維持を支援するシステムを実現できる可能性がある。 計画2では、注視モデリング手法をさらに発展させ、各注視領域における形状モデルの信頼度を混合分布モデルとして取り扱うことで、高精度に特徴抽出を行う手法を開発した。計画3では、計画2の成果を踏まえ、信頼性の高い特徴量に基づく形状記述法を開発した。特徴点周りの形状記述子として曲率分布画像について解析を深めたほか、新たに形状ヒストグラムを開発した。全12体の物体を用いた実験では、各物体の一部しか観測できないという条件で認識実験を行ったところ、いずれも約85%以上の識別率で認識できることを確認した。形状記述子の種類に関わらず安定に物体認識が行えていることから注視モデリング手法に基づく高精度な特徴抽出法が寄与していると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた各種手法の開発について順調に進行していると認識している。本年度開発した注視モデリング手法により、対象が多種多様で複雑な形状を含む物体であっても、注視領域ごとに分割して形状モデリングを行うことで、安定に対象形状を学習できるようになったことは大いに評価できると考える。また、各注視領域から抽出される特徴量の中から最も信頼性の高いものを確率モデルに基づいて選択することで、高精度な特徴抽出が可能となった。これに基づき簡単なモデルベース物体認識を実現できるまでに至ったことは、当初の研究目的をおおむね良好なペースで進行していると判断している。 一方で、問題点もたくさん確認できた。物体認識において誤認識してしまった原因について解析したところ、形状記述子による投票数において僅かな違いで最終判断を誤っていることが多いことがわかった。形状記述子の特性上、平凡な形状を持つ領域が多い場合に、それが認識精度に影響を与えているといえる。現状、局所的な特徴量のみを用いたものになっているため、対象形状に応じて識別率が変動しやすい傾向がある。また、検出された特徴点周辺における記述法となっているため、特徴点の検出精度に影響を受けやすい傾向にある。今後、これらの問題を解決すべく様々な改良が実現できれば、より現実的なモデルベース物体認識システムの構築が実現できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、各注視領域において階層的形状モデリング手法の開発とそのスケールを考慮に入れた形状記述法の開発に着手する.形状を記述する際、どのようなスケールの形状変化を記述するかによって結果は異なる。そのため、特徴量を選択する際、こちらが陽に指定したスケールでの形状モデルから特徴量を抽出すべきである。また、局所性を左右する形状記述子の記述範囲もそのスケールに応じて変えることが望ましい。そのため、特徴点検出の精度の問題と形状記述子の記述範囲の設定とを包括的に解決し、スケールに応じて抽出した特徴量を用いて効果的に形状識別に実現できる手法に改良していく。 一方で、スケールのみの変化だけで実現する階層的形状モデリング手法を開発する傍ら、種類の異なる形状モデルを用いた階層化も試みたいと考えている。単純な形状モデルとして二次曲面で形状を表現し、それでは表現できない複雑な形状をNURBS曲面で表現するといった構造で注視モデリングを実現する方法を開発する。 また、ヘッドマウントディスプレイを通じて物体認識結果を呈示するためのシステムの開発にも取りかかる。同時に現在開発中のKinectを用いて呼吸・心拍をモニタリングするシステムも継続して開発を行う。これらにより、人の活動、安全、健康を支援するシステムの開発を積極的に進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度購入を予定していたウェアラブルコンピュータについては,こちらが想定していたほど開発に自由度がないことが判明したため,とりあえず本年度は物体の3次元計測を目的とした装置の購入にとどめたことから次年度使用額(415,430円)が発生した.次年度では、対象物体のメタ情報呈示を想定した実験を開始したいので、各種メタ情報を含む物体情報を登録するためのデータベースとして、ファイルサーバを購入する。また、カメラや小型モニタを装備した情報呈示用ヘッドマウントディスプレイを購入し、実際にヘッドマウントディスプレイを装着した状況で小型モニタを通して物体認識結果及びその物体に関するメタ情報を呈示する実験を行う.
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Research Products
(7 results)